注目ポイント
台湾南部最大の都市といえば港町・高雄。亜熱帯の台北とは違って、こちらはモロに熱帯に位置し、果実あふれる宝島を象徴するかのように、この時期市場にはバナナやマンゴー、ライチといった多彩なトロピカルフルーツが並ぶ。さすがに「果実の王様」とされるドリアンはタイ産が主流かと思いきや、最近は気候変動のせいか高雄や、隣接の屏東でも栽培に成功しているそうだ。そんな動きを先取りしてか、具材にドリアンを使用したラーメンを出す店が高雄市内にあると聞き、突撃グルメリポートを敢行してみた。
まるで「生クリームにタマネギ」風味
読者諸兄は果実の王様ドリアンを賞味されたことがあるだろうか?
東南アジアなどでは5~8月に市場に出回るおなじみの果物で、果実の女王とされるマンゴスチンと人気を2分するが、いかにも万人受けしそうなマンゴスチンの爽やかな果実風味とは対照的に、ドリアンは「どっかでガス漏れでもしてるのとちゃうか?」と錯覚しかねないほどに風味が独特であるため、現地人でも好き嫌いがハッキリと分かれるくらいだ。
直径15~30センチほどの果実の外見は尖ったトゲで荒々しく覆われ、素手では触れられないほどに固いことが、いかにも男性的であること。またその外観に比べ果肉が少量で高価であること。ビタミンB1をはじめ栄養が豊富なことなどが「果実の王様」とされるゆえんだとか。

いずれにせよ、日本ではまだまだ一般的なフルーツとはいえないが、筆者はかつて台北駐在時代に近所のスーパーで、身だけを取り出してパック詰めして売っているものを購入し、喫食したことがある。
ねっとりとした果肉は非常に甘く濃厚で、同時に鼻腔に都市ガス臭がひろがる様は、ひと言でいうならば「生クリームにタマネギを練り込んだような風味」といったところか。
つまり慣れればハマるのだが、納豆や、くさやのように、食べ慣れない人は口にするときは、かぶりつく前に、そのニオイに撃退されてしまうのだ。
一杯3000~3500円の高級メニュー
それほどにクセが強いフルーツを、こともあろうにラーメンの具材にするとは…。台湾人の味覚、つくづくおそるべし…。
胸中そんな思いを抱いて向かったのが高雄市中心部からややはずれの、岡山区大仁南路60号に鎮座する「山禾堂」(さんかどう=Shan he tang)岡山店だ。(鼓山区に高美店もある)
「博多拉麵(ラーメン)」と銘打った看板。外観、内装ともに清潔で洗練されており、日本のおシャレなラーメン店がいきなり台湾・高雄の郊外に出現した感じ。

到着したのが午後1時半、ちょうどお昼の混雑もいい具合におちついたころだ。
「おじゃましまんにゃわ!」と、往年の吉本新喜劇ばりにドアを開けると、愛想も器量も抜群の店員さんが「歓迎光臨!(いらっしゃいませ)」と一声、素早くオーダー取りに来てくれた。
ドリアンの中国語表記は「榴蓮」(liulian)。果たしてメニュー表のなかには肩に「NEW」の赤い文字が躍る「榴蓮拉麵」(ドリアンラーメン=680台湾元)「榴蓮皮蛋拉麵」(ドリアンピータンラーメン=720元)「榴蓮皮蛋叉焼激増拉麵」(ドリアンピータンチャーシューマシマシラーメン=780元)を発見した。