2023-08-09 政治・国際

蔡総統、中国の「権威主義はより攻撃的に」 訪台の麻生氏、抑止力強化し「戦う覚悟」を

© JIJI Press/AFP via Getty Images

注目ポイント

訪台中の麻生太郎副総裁は8日、総統府で蔡英文総統と会談し、「困った時は助け合い、よいときは喜びを分かち合う日台関係でありたい」と述べ、台湾への軍事・経済的威圧を強める中国の動向などを念頭に、今後も連携強化を図っていきたいとの考えを伝えた。

訪台中の自民党ナンバー2、麻生太郎副総裁は8日、蔡英文総統と台北の総統府で会談し、軍事的圧力を強める中国を念頭に、台日間の連携を深める方針を確認した。蔡氏は、日本が議長国を務めた5月の先進7か国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明に、台湾海峡の平和と安定の重要性が明記されたことを評価した。

自民党によると、副総裁の公式訪台は1972年の断交後、確認できる限り初めてで、現職の自民幹部としては最高位。7日から3日間の日程で訪台した。

時事通信によると、会談で両氏は台湾への軍事・経済的威圧を強める中国の動向などを念頭に、国際情勢をめぐり協議し、「台湾有事」の可能性も否定できないとの認識を共有。有事の際の邦人保護の在り方についても意見交換した。

麻生氏は、「お互い困ったときは助け合う。いいときはお互いに喜びも分かち合う。そういう日台関係であり続けたい」と表明した。

蔡総統は、G7広島サミットの首脳声明で、「台湾海峡の平和と安定の重要性」に触れたことについて、「日本政府に感謝したい。(日本は)これまでに何度も台湾海峡の平和を支持すると表明した」と述べた。会談は1時間弱行われた。

麻生氏の訪台をめぐり、中国外務省の報道官は7日、「断固反対で、強く非難する。厳正な申し入れをした」と表明。総理大臣経験者である与党幹部の訪台に反発し、日本側に抗議をしたことを明らかにした。

これに先立ち、麻生氏は来年1月に投票が行われる台湾総統選挙に与党・民進党から立候補する頼清徳副総統とも会談。7日の到着後には台湾北部の新北市入りし、民主化を推進した李登輝元総統の墓を訪れた。

一方、蔡英文総統は8日、台北で開かれた安全保障の国際フォーラムで、中国の軍事圧力や世論工作を念頭に、「権威主義体制はより攻撃的になっている」と述べ、台湾の民主主義を守る決意を強調した。

中国が自分たちの統治モデルの方が優れていると確信していることが、インド太平洋地域の「摩擦」の原因になっているとも指摘。民主主義同盟の一員として地域の安定に役割を果たしていきたいと語った。

また、「軍事的な対立は求めない」と主張する一方、台湾の防衛能力を向上させるために努力していると強調。中国による「偽情報キャンペーン」と闘っていると訴えた。

同国際フォーラムで基調講演した麻生氏は、軍事的圧力を強める中国を念頭に、台湾海峡の平和と安定には強い抑止力を機能させる必要があり、そのために日米や台湾には「戦う覚悟」が求められていると主張した。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい