注目ポイント
鴻海の合弁契約は、管轄官庁の審査・承認を経て、6~9か月以内に完了する予定。 鴻海はこれを機に、フォルクスワーゲン、スマート、アウディ、メルセデスベンツ、BMW、ポルシェを含むドイツの自動車メーカーとの関係を強化すると見られている。
鴻海がZF子会社のシャシー技術を取得
台湾の鴻海精密工業と世界有数の自動車部品サプライヤーであるドイツのZF(ZF Friedrichshafen AG)は7月24日、自動車シャシーシステムにおける提携を発表した。ZFの子会社に両社が50%ずつ出資する。鴻海は196億5,300万台湾ドル(約890億2800万円)を出資し、これを機に高級自動車メーカーを始めとする自動車分野でのビジネスチャンス拡大を加速する。
鴻海は今回、ZFグループの子会社で自動車用シャシーシステムの製造・組立を行うZF Chassis Modules GmbHの株式の50%を取得した。現在の企業価値は約10億ユーロ(約1,568億円)だという。 鴻海は、ZFのシャシーはすでに自動車市場でシェアを獲得しており、鴻海の技術とエネルギーを結集してより多くの電気自動車(EV)関連製品を開発すると強調した。
鴻海の合弁契約は、管轄官庁の審査・承認を経て、6~9か月以内に完了する予定。 鴻海はこれを機に、フォルクスワーゲン、スマート、アウディ、メルセデスベンツ、BMW、ポルシェを含むドイツの自動車メーカーとの関係を強化すると見られている。
ZF グループは世界の高級車メーカー向けて、特にクルーズコントロール、安全装置、自動運転、電気自動車の 4 分野をメインにサービスを提供しており、従業員約 165,000 人、2022 年の売上高は 438 億ユーロ(約6兆8591億円)、32 か国に 168 の生産拠点を擁している。
海外メディア:自動車産業の構造変化と報道
ドイツの日刊商業経済紙「ハンデルスブラット」は、今回の鴻海によるシャシー生産技術買収について、鴻海がiPhoneのサプライヤーの地位を獲得したのと同様に、電気自動車産業をリードする機会を獲得したと報じ、自動車業界の構造変化を浮き彫りにしていると分析した。
また、鴻海は電気自動車のバッテリー分野でも事業を広げている。7月20日には、自動車分野の半導体大手、米国アナログ・デバイセズ(Analog Devices Inc=ADI)と、次世代デジタル車載コックピットと高性能バッテリー管理システム (BMS))の開発で協働することを発表した。
鴻海の劉陽偉会長は「鴻海は海外のパートナーと積極的に協力してビジネスエコシステムを構築し、電気自動車技術とスマート交通の開発の価値をより高めていく」、「アナログ・デバイセズはカーエレクトロニクスの分野で優れた実績が有り、両社が協力して、顧客のニーズを満たす最適なソリューションを提供し、互いに潜在的なビジネスチャンスを掴みたい」と述べた。