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台湾では旧歴の7月1日から30日までを「鬼月(グェユエ)」と言って、先祖があの世から帰ってくる季節である。今年のカレンダーでいうと、8月16日から9月14日までである。鬼月には日本のお盆と同じように、先祖にお供え物をして供養したり、お墓掃除をしたりする。鬼月にはやってはいけない禁忌がたくさんあり、今でもお年寄りを中心に、鬼月のしきたりを守っている人が多い。また、旧歴7月15日(8月30日)は中元節で、台湾各地でお祭りやイベントが催される。今回は鬼月のタブーやイベントについて紹介しよう。
台湾のお盆は一か月続く
夏の風物詩、お盆。日本でも台湾でもお盆になると迎え火や爆竹を合図にご先祖様がこの世に帰ってくる。お盆は、日本では東京と一部の地域を除く大多数の地域で旧暦の7月(新暦より大体30日遅れ)、つまり8月に行われる。日本では8月15日を中心に4~5日間くらいお盆が続く。今年は8月13日から16日がお盆に当たる。
一方台湾ではお盆は必ず旧暦の7月で、この月を「鬼月」と呼ぶ。ちなみに中国語の「鬼」は「霊、幽霊」の意味である。今年の台湾の鬼月は8月16日から9月14日までの一か月で、8月30日は旧暦7月15日、つまり中元節に当たる。
旧暦7月1日にあの世の門が開き、30日にあの世の門が再び閉じる。15日はお腹をすかせたご先祖様や無縁仏(好兄弟という)のために、或いは空腹の悪霊が悪さをしないように、お菓子や飲み物やくだもの、鶏肉、豚肉などを自宅の庭先やオフィスビルの前の歩道やお寺などに盛大にお供えし供養する。これを中国語で「中元普渡」、英語で「Hungry Ghost Festival」という。この中元節が日本の「お中元」の語源となる。

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鬼月のタブー
ご先祖様だけではなく、ありとあらゆる霊や成仏できない悪霊が鬼月にこの世に舞い戻ってくる。だからあの世の門が開く時には悪霊が降りて来られないように爆竹を鳴らす。とにかく悪霊に取り憑かれないよう台湾の人々は古来、様々な禁忌を設けてきた。鬼月じゃなくてもしないほうがいいことや無意識についついやってしまうことも含まれているようだが、たくさんある禁忌のうちの20選を紹介する。
1・家の中で傘をさす
2・コックリさんをする(台湾のコックリさんはコインではなくお椀を使う)
3・夜、鏡を見る
4・月経期間中の女性が廟を参拝する(これはちょっと前まで日本にもあった)
5・他人の肩や背中を叩く
6・ごはんに箸を刺す(線香に見間違う)
7・パイナップル(旺來…来ての意⇒悪霊が来る)をお供えする
8・壁にもたれかかる(悪霊は壁で待ち伏せる)
9・水遊びや海水浴をする
10・夜、口笛を吹く(日本では蛇が来ると言われた)
11・午後3~5時の間に誕生日を祝う
12・「鬼」という言葉を口にする
13・お供え用の紙のお金を踏む(いつだってお供え物を踏んではいけない)
14・トンボやキリギリスを捕まえる(トンボとキリギリスには悪霊が憑きやすい)
15・道端で小さなものを拾う(小さな落とし物にも悪霊が憑きやすい)
16・お化け屋敷に入る