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在ロシア中国大使館は6日までに、著名ブロガーを含む中国人観光客5人がロシア国境警備隊に4時間にわたり聴取される「野蛮で過剰な法執行」があり、「中国国民の権益が傷つけられた」と発表した。中露両国が関係強化を図る中、異例の表現を用いて抗議した格好となった。
在ロシア中国大使館は、著名中国人ブロガーとその友人ら5人がロシアへの入国を拒否された問題をめぐり、「ロシア当局により残忍な対応」を受けたとして、露政府を強く非難した。中国政府が個人の入国拒否でロシア政府に抗議するのは異例だ。
発表によると、中国人5人は先月29日、中央アジアのカザフスタン経由でロシア入りしようとしたところ、国境警備隊に入国を阻まれ、観光ビザ(査証)も取り消された。中国側は申し入れでロシア側に対し、警備隊の対応は「両国の友好的な人的交流を緊密にする方向と矛盾する」と抗議した。
同大使館は4日、「この事件におけるロシアの残忍かつ行き過ぎた法執行活動は、中国国民の正当な権利と利益を著しく侵害した」と中国のソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」へ投稿した。
大使館によると、検問所では「4時間にわたり繰り返し尋問」され、入国は拒否され、観光ビザは取り消されたという。大使館側は、中国当局が当事者から提供されたビデオを確認した後、ロシア外務省、連邦保安局、連邦国境警備局に抗議の申し入れを行ったと発表した。
同大使館は続けて、「これは中露友好の全体像と両国間の友好的な人的交流の拡大傾向に反する」と述べ、習近平国家主席とプーチン露大統領が共同宣言した「制限のない友好関係」とは相容れないものだとの考えを示した。両氏は昨年2月、ロシアのウクライナ侵攻の数日前に北京で行った共同声明で、両国間の協力には「禁止区域はない」ことに同意した。
米ブルームバーグによると、中国大使館が今回使った言葉遣いは、同国が西側諸国に向けて抗議に使用される言葉と類似しており、今回の抗議声明はロシアに対し「この一件の原因を説明し、悪影響を排除するため、積極的な措置を講じ、今後同様の事件が再発しないよう」求めたものだという。
さらに、大使館はロシアに、「国境警備隊による過剰な法執行活動についてさらなる調査を実施し、中国側に満足のいく回答を提供する」必要があると付け加えた。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国版TikTok「抖音(ドウイン)」に90万人近くのフォロワーを持つ中国人ブロガー、ジン・ウェンシン(Jin Wenxin)氏が、国境検問所で受けた対応について動画を投稿すると、数日後、中国大使館が今回の異例の対応を見せた。
問題の動画でジン氏は、国境の検問所で自身を含む5人がロシア当局により、「犯罪者のように扱われた」とし、3度も持ち物検査を受けたと不満をぶちまけた。