2023-08-08 政治・国際

南シナ海で中国艦、放水砲で物資補給を妨害 フィリピン軍が非難、米日豪など比の支持表明

© GettyImages 中国沿岸警備隊の船舶がフィリピンの補給船に対して放水銃を使用する映像

注目ポイント

フィリピン軍は6日、南シナ海のアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)で5日に同軍拠点に兵員交代と物資補給のため近づいたチャーター船のうち1隻を中国海警局の艦船が、放水砲を使って妨害したとし、強く非難するとの声明を発表した。米日豪など西側はフィリピンへの支持を表明し、米国は米比相互防衛条約の発動事案になると中国をけん制した。

中国沿岸警備隊の船舶が5日、南シナ海でフィリピン船を放水銃で攻撃したことを受け、米日豪など西側は中国を非難。米CNNによると、専門家らはこの一件により、すでに緊迫した状況がさらにエスカレートし、米国とその同盟国などが計画している同海域での共同パトロールの実施を加速する可能性があると分析している。

フィリピン沿岸警備隊(PCG)が撮影した映像には、フィリピンの排他的経済水域にある南シナ海のセカンド・トーマス礁で、比海兵隊の駐屯地に物資を届けようとしていた小型のフィリピン船に対し、中国海警局の大型船が放水銃で噴射する様子が映っていた。セカンド・トーマス礁は中国も領有権を主張し、「仁愛礁」と呼んでいる。

また画像には、補給船を護衛するフィリピン沿岸警備隊の船舶の前に中国船が危険なほど接近している様子も映っていた。

「フィリピン沿岸警備隊は、中国海警局のPCG船舶に対し、危険な行動と放水銃の違法使用を強く非難する」と5日、フェイスブックの公式アカウントで声明を発表した。

フィリピンの主要同盟国である米国は、6日までに中国の行動を非難。米国務省のミラー報道官は声明で「米国は、南シナ海の沿岸警備隊を含むフィリピンの公船、航空機、軍隊に対する武力攻撃は、1951年の米比相互防衛条約第4条に基づく米国の相互防衛援助協定による発動事案になることを再確認した」と中国に警告した。

日本とオーストラリア、ドイツも中国の行動は「危険」で「地域の不安定化をもたらす」と非難。在マニラのカナダ大使館は、「カナダは中国海警局がとった危険で挑発的な行動を率直に非難する」との声明を発表した。

南シナ海は長年、フィリピンと中国の間の緊張の源となってきた。中国政府は南シナ海のほぼ全域とその中のほとんどの島々、さらには中国本土から数百キロも離れた場所にも「議論の余地のない主権」を主張している。その中には、中国政府が南沙諸島と呼ぶ島々も含まれる。この諸島は100以上の小さな島々や岩礁からなる群島で、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイも全部または一部の領有権を主張している。

フィリピンはこの地域を西フィリピン海と呼び、1999年には領有権を守るためにフィリピン海兵隊員を乗せた海軍輸送船BRPシエラマドレをセカンド・トーマス礁に意図的に座礁させた。

ハーグの国際仲裁裁判所はフィリピンの主張を認め、2016年に、南シナ海の大部分に対する歴史的領有権を主張する中国の言い分は、法的根拠がないものとの判断を示した。中国政府はこれを無視し続けている。

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