注目ポイント
従来のソファは、家の中で居心地の良い場所の雰囲気を連想させるものだったが、存在感の大きさから通常はリビングなどの一角に固定されていることが多い。そこでスウェーデンの家具ブランドのIKEAのイノベーションラボ「SPACE10」が最近「封筒に入ったソファ」という新たな発想を実現させたのだ。このリサイクル可能なソファの重量はわずか10kgで、封筒に入れらるように設計されているため、引っ越しの際にも簡単に持ち運ぶことができる。
(文章編集:古家萱)
賃貸住宅にお住まいの方で、ソファを買いたいけれど引っ越しの時に持っていけないのではないかと心配になったことはありませんか? スウェーデンのIKEAの「SPACE10」が「封筒に入ったソファ」を実現させた。ソファは持ち運べるように設計されている。

今回、SPACE10とPanter&Tourronは共同で人工知能を用いて従来の発想を一新し、軽量で汎用性が高く、快適で環境に優しい家具としてのソファの可能性を生み出すことに成功した。
もともとソファは、リラックスしたムードを醸し出すものだが、そんな従来の常識に挑戦するために「封筒に入ったソファ」は「フラットなパッケージ」と「モジュール性」というコンセプトの基に、ユーザーが製品を簡単に持ち運びできるようにし、現代のライフスタイルに、より適応できるように導入された。
デザイナーが既成概念に捉われずに新発想を得るため、AIはどのようなツールになり得るのか?

実は、この「封筒型ソファ」はIKEAの実験室——SPACE10ギャラリーで開催された展覧会「AI時代のデザイン」で発表された作品のひとつだ。この展覧会では、デザインにおける創造的な新ツールとしての「AI」の役割、そしてコラボレーターとして、従来の常識の枠を超え、未来の家庭生活にふさわしい家具や製品を生み出すのにどのように役立つかということを模索している。
Runway(ランウェイ)やMidjourney(ミッドジャーニー)のような動画・画像生成人工知能ツールに「遊牧民のためのソファ」といったプロンプトを入力するところから始まった。
まず最初に「ソファ」という言葉を使った時、従来のソファの形からイメージを切り離すことが大きなチャレンジとなったのだが、大規模な言語モデルにおいて、人間の偏見や設計上の慣習がいかに深く根付いているかを明らかにしている。
まず、「プラットフォーム」、「軽量」、「リサイクル可能」、「移動が簡単」など、様々な手がかりを挙げていった。そして試行錯誤を繰り返し、ついに従来のソファの形から脱却し、軽量で適応性があり、リサイクル可能という目的を満たす「座れるもの」に焦点を絞ることが出来た。
現代のライフスタイルに適した素材と機能

製品としての「封筒に入ったソファ」の新しいところは、その高い「リサイクル性」と柔軟な「着脱性」にある。従来のソファにはリサイクルしにくい部品が数多くあり、その結果、多くの廃棄ソファが永遠に埋立地に埋もれてしまうという現実がある。