注目ポイント
バービー人形を初めて実写版化した米ワーナー・ブラザースの映画「バービー」が、中国で予想外の大ヒットとなっている。その理由は、この作品がフェミニズムや家父長制度、〝男らしさ〟という概念のもろさにスポットライトを当てていることに注目したフェミニストたちが、劇場に足を運んでいるからだという。
英紙フィナンシャル・タイムズは、この映画がフェミニズムや家父長制度、〝男らしさ〟という概念のもろさにもスポットライトを当てていると指摘。中国各地の映画館で「バービー」の上映回数が増える中、専門家らは、愛国的で男性主導のアクション映画であふれる中国の映画市場で、女の子を対象としたバービー人形が主人公のこの作品の存在は際立っているという。
北京の大学で法律を専攻するフェイフェイさん(匿名)はすでに2回、劇場で「バービー」を見たと同紙に明かした。毎回明るいピンクのキャップを被って映画館に出かけたという。「私は何でも完璧にこなさなければならないというプレッシャーの中で育ってきた。でもこの映画は、本当の自分でいればいいと気づかせてくれた」と話した。
中国のジェンダー問題とフェミニズムを研究している米コロンビア大学のリタ・ホン・フィンチャー助教授は、「中国にはこれほど大きな商業的魅力を持ち、これほど明白なフェミニスト的な作品は、これまで存在しなかった」と説明。「この映画は、たまたま(中国側の)検閲の目をかいくぐったようだ」と述べた。
「『バービー』のフェミニズムはとても心地よいものであり、破壊的ではない…この映画には、性差別撤廃運動に対して弾圧を続ける当局を動揺させるような内容は何もない」と指摘。中国での「バービー」人気は、若い世代が「いかに中国社会が性差別的で女性蔑視的であるかをよく認識している事実を反映している」と解説した。
おすすめ記事:
・中国系アメリカ人の6割以上が台湾に好意的 アジア系で中国に好印象は14%=米調査
・中国が海外のウイグル人を脅迫しスパイ化 家族を〝人質〟に工作活動強いる=BBC