2023-08-07 政治・国際

日本のニュース in スイス

注目ポイント

今週(7月28日〜8月3日)スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから3件をピックアップ。要約して紹介します。

「日銀が大規模緩和を修正」「日本政府が防衛白書を公表」「日本の自動車運搬船がオランダ沖で火災」「広島・尾道市の妊婦向けチラシに批判殺到」「国内最古の高浜原発1号機が再稼働」「なでしこジャパン、グループ1位で決勝進出」「大型の台風6号が沖縄接近」「英国のチャールズ国王の次男ヘンリー王子が訪日」―といったトピックスが取り上げられました。

この中から今回は「日銀が金融政策を修正」「日本政府が防衛白書を公表」「日本の自動車運搬船がオランダ沖で火災」「広島・尾道市の妊婦向けチラシに批判殺到」をご紹介します。

日銀が長短金利操作(YCC)を修正

日銀は先月28日、長期金利を低く抑える「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)」の修正を決めました。スイスの主要メディアが大きく報じました。

ドイツ語圏の日刊紙NZZは、修正はサプライズではなかったとしたうえで、「方向転換の最初の犠牲者となったのは、日本の高名な金融政策理論家の植田和男氏が​​過去に繰り返し批判を表明していたYCCだった」と指摘。世界的な金利上昇により政策の維持が難しくなっているものの、「物価が急騰しているにもかかわらず、中央銀行は2%のインフレ目標がまだ一貫して達成されていないとの想定を変えていない」と、日銀の苦しい立場を説明しました。

金融系ウェブメディアCashは、日銀の政策変更が世界市場に与える影響などをポイントごとに解説しました。「日銀は低金利を支える世界最後の主要な拠り所で、日本の投資家は利回りを求めて海外に3兆ドル以上を保有している」と指摘。わずかな政策修正でもこれが逆流し、円高や日本の投資家に人気のあるオーストラリア、フランス、米国の国債価格に影響を与えると分析しました。(出典:NZZ他のサイトへ/独語、cash他のサイトへ/独語)

日本政府が防衛白書を公表

日本の防衛省は先月28日、2023年度版の防衛白書を公表。独語圏のスイス公共放送(SRF)は31日、「中国を『最大の戦略的挑戦』と呼ぶ日本」との見出しでこれを報じました。

SRFによると、2023年度版は中国の軍事動向に対する警戒を強める内容となっており、「これまでにない最大の戦略的挑戦」と位置付けた同国については、米国や他の「志を同じくする国々」との「協力や協調」を通じて対応すべきだとしています。

日本のフリー特派員マーティン・フリッツ氏はSRFで、防衛白書が注目するのは主に中国と北朝鮮だと指摘。中国による台湾侵攻の可能性や、ロシア・中国が北朝鮮と高める軍事協力体制なども日本の懸念事項であるとし、防衛費を増額するなど、同国の安全保障政策が転換期を迎えていると述べました。

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