注目ポイント
「私たちはこの島で、ずっとこれらの古く美しい大樹と暮らしてきたのです」と語るのは、「找樹的人――巨木地図プロジェクト」を主宰する徐嘉君だ。
南投県丹大地域の「卡阿郎巨木」は高さ82メートルだが、傾斜40度という、人も立っていられないほどの険しい渓谷に生えている。徐嘉君が2022年にこれを測量した時、近くの渓谷に倒れていたヒノキの巨木の上に作業台を置いた。この巨大なヒノキの倒木は、大雨の時に押し倒されたと見られる。そこから数メートル離れたところに立つタイワンスギの卡阿郎巨木は何とか難を逃れており、非常に幸運だったと言える。
高さ72メートルの南坑渓神木は、雪覇国家公園の大安渓230林道から900メートル下りなければ見ることはできない。徐嘉君は、南坑渓神木から遠からぬところにある土壌の柔らかい崖の上にもう一本のタイワンスギの神木が立っているのを見た。山の半分はなかば崩れかかり、その幹の半分は土に埋まった状態だが、木はまだ生きている。長い時間の流れの中で、この木は数々の天災や落雷に見舞われながらも堂々とそびえ、その近くの仲間たちも懸命に生きている。「いま私たちによって発見され、測量されたこの木は、本当に宝くじ当選者のようなもので、この木を訪ねられる私も宝くじに当たったようなものです」

隠れた神木集落
全台湾の400株を超える巨木を系統だって調査してきた神木専門家の黄昭国によると、台湾最大の神木は幹囲が20.5メートル、大雪山230林道35キロ地点にある大安渓神木(または大雪山神木、巨無覇神木とも呼ばれる)で、実に迫力がある。
1999年9月21日の台湾大地震の後、230林道は大規模に崩落し、続いて幾度も水害に遭った。黄昭国は大安渓神木を懐かしく思い出した。2010年には道路状況が確認できなかったため、彼は全国の3000メートル以上の百岳を16回も登った高山ガイドの周業鎮と、登山に詳しい黄永利に依頼して一緒にこの木を見に行った。
果たして、大安渓神木まで2キロの地点に二つの断崖があり、草も生えない斜面を滑り落ちれば戻ることもできず、百岳の80以上を制覇した黄昭国も足の力が抜けてしまった。ちょっと気を抜くと100メートルの峡谷に転落してしまい、ヘリの救助を求めなければならなくなる。
その時、彼は手を合わせて大安渓神木に「どうかお姿を拝みにいかせてください」と祈った。すると足に力が入り、さらに2時間を歩いて緑の巨木を拝むことができたのである。林務局の倉庫に泊まった時、今度は帰路が心配になり、3人そろって神木に祈った。すると順調に山を下りることができたのである。「これでも神木に魂がないと言えるでしょうか」と黄昭国は言う。