注目ポイント
世界最大の半導体ファウンドリ、台湾TSMC(台湾積体電路製造)は7月20日に第2四半期の決算説明会を開き、2023年第2四半期の財務報告を発表した。2022年同期と比較して売上高は10.0%減少し、粗利益率は54.1%、税引後純利益率は37.8%になった。 第 3 四半期の売上高は米ドルベースで6.5 ~ 11.6% 増加し、粗利益率は 51.5 ~ 53.5% になると推定されている。米国工場の生産計画は2025年まで延期されるが、日本については未定だという。
魏哲家CEOは更に、米国、日本、欧州の政府関係者との最近の交渉において、世界情勢の影響で関連計画が遅れることを指摘した上で、TSMCの当面の課題は価格管理と価格差の縮小(補助金問題)であるが、現時点でTSMCの半導体チップは依然として優位にあり、今後もこの優位性を維持することでスケールメリットを拡大していくことを繰り返し強調したと語った。

© 台積電公開資訊

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(表)2023年第2四半期の製造プロセス別・技術プラットフォーム別売上高分析
HPCがTSMCの主力となる
TSMCによると、米国と中国の景気回復が予想より遅く、端末市場の需要が減少しているため、AI産業が好調であっても、全体的な需要が伸びていない。需要はあっても、為替レートの変化と金利上昇を相殺することはできず、通期の財務報告に影響を与えたという。
また、AI半導体分野については、CPU、GPU、AI等の製品が現在TSMCの総売上の約6%を占め、今後5年間で、更に平均して年50%近い成長率で増加する見込みだと述べた。 HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング ) が収益増加の原動力となり、今後数年間データセンターの開発に力を入れていくという。
最後にTSMC劉徳音会長は、現在のAI需要は短期的な需要であり、長期的な状況を評価することは難しいものの、生成AIにより多くのコンピューティングが必要であり、TSMC には追い風となるため、資本投資をより促進していくと述べ、説明会を締めくくった。