注目ポイント
ペット人気に湧く台湾。圧倒的な人気を誇るのは犬だが、日本とは気候も文化も異なるため、日常生活で配慮しなければならないことも変わってくる。散歩道を彩る植物たちも、犬にとっては危険な存在になるもののひとつ。台湾での犬との生活からは、観光とは違った台湾文化が見え隠れする。
台湾でペットを飼っている人はとても多く、特に犬の人気が高い。筆者も2匹の犬と生活しているが、犬と一緒の台湾生活には気をつけるべきことがたくさんある。
例えば今のような暑い時期の散歩だ。焼けるように熱いアスファルトを避けて、早朝や深夜に散歩する必要があるのは日本の夏と変わりないが、台湾の路上にはゴキブリが大量にうごめいているし、雨上がりには毒性を持つ南国特有のカタツムリ、アフリカマイマイが大量発生する。車やバイクだけでなく、そういった生き物も避けながら散歩しなければならない。
また、北回帰線を境に亜熱帯から熱帯に属しているため、自生している植物や市場に出回っている切花、鉢物も日本と大きく異なる。ペットが食べてはいけない植物もあり、道端の草を食べるクセのある犬は、特に注意が必要だ。
日本でも台湾でも気をつけたい身近な植物
台湾の街中を歩いていると、日本でもなじみのあるものから見たことのないものまで、さまざまな植物に出くわすだろう。南国ならではの雰囲気を醸し出すガジュマルやバオバブといった街路樹の多くは自治体が植えているが、住民が育てている植物を路上に置き、街路樹化しているケースにもかなりの確率で遭遇する。
そんな中でまず気をつけたいのがツツジだ。日本のようにしっかりと手入れされておらず、葉や花が地面によく散乱している。ツツジはグラヤノトキシンという毒を持ち、犬が食べてしまうと、嘔吐、下痢、痙攣、昏睡など重大な症状を引き起こすとされる。最悪死に至ることもある毒性の強い植物なのだ。
夜の散歩は甘い香りに要注意
「夜来香」と呼ばれるナイトジャスミンは、その名のとおり非常に香りが強い。自生していることは少ないが、鉢物やお供え用の切花としてポピュラーで、お寺に飾られていたり、自宅で育てている人も多い。最近ではさまざまな色や品種が登場し、花束やアレンジメントの花材としても人気が出てきている。
そんなナイトジャスミンも犬にとっては危険な植物だ。もし食べてしまった場合は中枢神経系統に影響し、胃腸炎や痙攣を起こした後、昏睡状態になって最悪死亡してしまうこともあるという。強い香りで犬も興味を持ちやすいため、街中で見かけたら近づかない方が無難だ。
縁起の良い植物もペットにとっては毒に
ミリオンバンブー(萬年青)は開運の植物としてよく知られ、旧正月には多くの人が自宅に飾り、赤いリボンや金色の装飾を施して一年の運気向上を託す。
犬が直接食べてしまうことは少ないだろうが、大型のミリオンバンブーが飾られていたり、旧正月が過ぎるとゴミ回収で道端に捨てられていたりするため、決して油断しないこと。ミリオンバンブーの汁には毒があり、犬が触れると皮膚炎を起こし、ひどい場合にはよだれが止まらず、昏睡状態になる可能性もある。取り付けられた飾りをおもちゃと勘違いする犬もいるため要注意だ。