2023-07-28 政治・国際

ウクライナ侵攻で国際社会から孤立したロシア  核で西側と対峙する北朝鮮に急接近するワケ

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注目ポイント

北朝鮮は首都平壌の金日成広場で27日、朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定締結70年を記念したパレードを実施し、李鴻忠・中国共産党政治局員と共に訪朝中のショイグ露国防相も出席したとみられる。コロナ禍以降、初めてロシアの要人が北朝鮮を訪問し、ここにきて両国は急接近している。その理由を米誌「USニューズ&ワールド・レポート」が解説した。

米国は、北朝鮮が戦争遂行のためにロシアに武器を提供し、その中には「相当数」の砲弾や、ロシアの民間軍事会社ワグネルへの歩兵用ロケット弾やミサイルの輸送も含まれていると非難している。

ロシアと北朝鮮の両国はこうした主張を否定しているが、北朝鮮メディアは今週、正恩氏とショイグ氏が安全保障などで「見解が一致した」などと報じた。

露ウラジオストクにある極東連邦大学のアルチョム・ルーキン教授は「ウクライナにおけるロシアの〝特別軍事作戦〟は新たな地政学的現実を生み、クレムリンが(北朝鮮と)ますます接近することで、冷戦時代に存在していた準同盟的関係を復活させるかもしれない」と米情報分析サイト「38ノース」に寄稿。ロシアとの関係について北朝鮮が、「戦術的・戦略的協力」という新たな表現を使い始めていることは、注目に値すると付け加えた。

 

経済的つながり

新型コロナウイルスによるパンデミックで運行が停止されていたロシア・北朝鮮間の鉄道が、昨年ようやく再開された。ロシアから北朝鮮への石油輸出も再開したことが判明した。

専門家らによると、北朝鮮の貿易の大部分は中国を経由しているが、特に石油の供給において、ロシアも潜在的に重要なパートナーとなる可能性があると指摘。ロシア政府は国連制裁決議違反を否定しているが、ロシアのタンカーが北朝鮮への石油輸出の上限を超えている疑いが持たれている。

また制裁監視当局は、禁止されているにもかかわらず、北朝鮮の労働者がロシアに留まっていると報告している。国連安保理決議に反し、2万~5万人の北朝鮮労働者を雇用するため、ロシア政府は〝政治的配慮〟を公然と議論しているという。加えて、侵攻により占拠したウクライナの領土について、ロシア当局は、戦争で荒廃した地域の復興に北朝鮮労働者を派遣する計画も検討しているとされる。



 

 

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