2023-07-29 観光

今も最前線の島で「毛沢東vs蒋介石」高粱酒の陰謀か【再会!台湾トラブル旅情・金門編】

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像 金門島 

注目ポイント

阪急交通社(本社・大阪市)が発表した2023年夏休みの海外・国内旅行の予約人数による「人気旅行先ランキング」で、台湾が海外部門堂々の1位に輝き、2位以下の欧州、韓国、シンガポール、タイを突き放した。この流れを先取りするかのようにバイクで台湾一周の旅に乗り出した筆者は、台南で新型コロナ罹患というトラブルに遭遇するも多数の台湾の人々善意で乗り越え、不死鳥のごとく再起。今回は眼前に中国福建省・アモイ市などを望む離島・金門島へと旅立った。

かつての激戦地へ、いざ!

さて皆さん、今回は台湾の離島・金門島(金門県)にやってまいりました。

厳密には福建省の一部なので、「台湾の金門島」と書くのはちょっとアレなのですが、台湾側では1996年からここに置く「福建省政府」の機能を凍結しております。

台湾海峡の最も中国大陸寄りにあり、大陸側の海岸から僅か2.1kmの沖合に位置。大金門、小金門などの複数の島で構成されており、大金門から対岸を双眼鏡で望むとアモイ市の海岸などを歩く人の姿がはっきりと見えます。

ここは、かつての国共内戦の激戦地。1949年の古寧頭戦役(金門戦役)で国民党軍が共産党軍を撃退したことは台湾では今も多くの人々に記憶されていますが、その背後に旧日本陸軍軍人(根本博元陸軍中将など)の軍事顧問団が存在し、指揮したことは日台の裏面史として知る人ぞ知る裏面史です。

とにかく、その時の国民党軍の司令官・胡璉が栽培を推奨したのがコーリャン(高粱)で、以来金門島の名物になりました。

安心してください。今回は難しい政治や軍事とは全く関係ない、金門島名物・コーリャン(高粱)酒のお話です。

 

人生を変える酒「金門・高粱酒」

そう、金門島の名産といえば何を置いても高粱酒。

筆者の周りでは「人生を変えてしまう酒」という声も聞こえてくるアルコール度数50度越えの一品です。

ある男性は交際1カ月の恋人に勧められるままに高粱酒を飲んだそうな。1杯2杯と杯を重ねると、白昼にも関わらず男性の意識はだんだん薄れていきました。消えゆく意識の中で、微かに恋人の声が聞こえています。そして翌朝目覚めると、不思議なことにテーブルの上には男性の震えたサインが入った婚姻届があったとさ。めでたし、めでたし…(?)

筆者の周りだけでも数人が同じような経験をしています。みんなアルコールは正しく適量を!悪用しちゃダメだぞ☆(ちょっとアニキ風に…)

金門名物高粱酒。写真は県政府贈答用ボトル=2018年11月、金門島で(筆者撮影)

 

高粱酒以外にも高粱を使った多彩な料理

それはともかく、金門島には高粱酒以外にも、高粱を使った料理が多数あります。戦地金門粥、戦地アイスキャンディー、戦地焼肉 etc.

どうやら高粱を入れれば「戦地xx」を名乗ってもいいようです。ひき肉の唐辛子炒めを入れれば「名古屋名物・台湾xx」を名乗れる名古屋ルールに通じるものを感じます。

戦地アイスキャンディーのポスター=2023年5月、金門島で(筆者撮影)
これが戦地金門粥だ=2023年5月、金門島で(筆者撮影)

高粱だけでなく、高粱酒を使用する場合でも、そのアルコールは抜けていますが、高粱の香りだけはしっかり残っています。

そんな金門島名物の高粱ですが、驚くべきドリンクを見つけました。

 

水頭集落で出会った、かの「主席」

「毛沢東」の名を冠したミルクティのポスター=2023年5月、金門島で(筆者提供)

水頭集落は金門島と対岸のアモイ(廈門)を結ぶ海運で栄えました。清朝時代の閩南様式の建物が多く残っており、金門島の観光名所にもなっています。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい