注目ポイント
このひと月、動静不明だった中国の秦剛外相が解任された。外相という要職を就任からわずか半年余りで交代させるのは極めて異例で、香港の女性テレビ司会者との関係が理由との憶測が広まった。共産党内のライバルが、不倫騒動を利用して秦氏の失脚を図ったという陰謀論も浮上するなか、中国では過去にも突然姿を消した要人たちが多く存在した。
郭広昌
郭光昌氏は、2015年に行方不明になった少なくとも5人の重役のうちの1人だった。英サッカープレミアリーグ所属「ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ」も所有する資産管理複合企業、復星インターナショナルの会長だった郭氏は同年12月、汚職事件に関与した疑いで警察に拘束された。その数日後に釈放された。
范冰冰(ファン・ビンビン)
中国共産党にとって、反体制的な動きをする危険性があるのは政治家や実業家だけではない。2018年7月、中国の国民的大女優ファン・ビンビンが突然、SNSや公の場から姿を消した。国外に逃亡したり、自宅軟禁されているのではないかという憶測が広まった。約1年後に再び姿を現したが、脱税で約8億8300万元(約174億円)の罰金を課せられた。
習近平
昨年10月に異例の3期目続投を決め、独裁体制を固めた習国家主席も例外ではなかった。2012年9月、当時副主席だった習氏は、複数の外国指導者との会談をキャンセルし、公の場から姿を消した。
同氏は正式な説明もなく約2週間後に再び姿を現したが、中国当局は「運動中にけがをした」と発表した。一度失踪した要人たちは、再び姿を現したとしても沈黙を続ける例が多いが、習氏の場合はその逆で、2か月後には中国の指導者に任命された。