2023-07-27 政治・国際

NATO共同声明が中国の脅威について15回言及 しかし、アジア太平洋地域への勢力拡大は進まず

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注目ポイント

リトアニア共和国で7月11日から12日まで、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議が開催された。議題の中心はウクライナ問題とスウェーデンの加盟問題だったが「中国の脅威」についても、無視出来ない重要な問題として焦点が当てられた。NATO は中国の脅威を牽制するために、アジア太平洋地域へ徐々に勢力を拡大している。

しかし、4カ国は今回の首脳会議でNATOとのITPP(国別適合パートナーシップ計画)を締結した。これは2023から2026年の4年間を対象とし、サイバー防衛、戦略的コミュニケーション、新興破壊技術(AI、量子等)、宇宙安全保障、気候変動と安全保障等の分野で協力を深め、共通の安全保障課題に対応すべく協力を強化するというものである。また 日本はNATOの関係機関などが主催する軍事訓練や研修にも参加する。

一方、ニュージーランドのナナイア・マフタ外務大臣は、ITPPへの署名について「ニュージーランドもNATOもこれを新たな同盟方式とは認識していない」と発言している。

また、台湾外務省の姚金祥欧州局長はNATOがインド太平洋関係と台湾海峡の安全保障を注視していることについて、「NATO事務総長は過去数カ月間、演説や書簡を通じて台湾海峡の状況に対する懸念を繰り返し表明しており、NATOが台湾海峡の安全を注視していることは大きな意義がある」と述べた。

中国はNATOに対し「冷戦時代の思考とイデオロギー的偏見に満ちている」、「中国はNATOのアジア太平洋地域への勢力拡大に断固として反対する」と怒りを露わにしている。さらに「NATOは中国に対する根拠のない非難や挑発的な発言をやめるべきだ」「絶対的安全保障を求めることは間違っている。欧州を攪乱し、アジア太平洋と世界を攪乱する」と非難した。

 


 

 

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