注目ポイント
台南在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、旬の食材を使った台湾料理のレシピと料理にぴったりなお酒を紹介する月イチ連載。第十回は、1年を通してさまざまな種類が楽しめるイカと、エリンギが主役の炒めもの。台湾でおなじみの三杯ソースの味わいに、お酒もごはんも進むこと間違いなしです。
今月のおいしい季節食材「イカ」
地域や種類によって旬の時期が異なるイカは、お刺身、焼きもの、煮ものと多彩な調理法で楽しめるのが魅力です。夏に旬を迎えるのは、ヤリイカ、スルメイカ、剣先イカなど。台湾でもポピュラーな海鮮のひとつで、スープやビーフンの具材としてもよく用いられています。
「◯◯イカ」と呼び分ける日本と違い、台湾では種類が変わると名前もまるっと変わるのが少しややこしいのですが、この時期にとれるヤリイカは一般的に「透抽/中巻/小巻(サイズによっても呼び名が変わります)」と呼ばれています。身は厚めで柔らかく、火を通すと旨みがさらに増すのが特徴。筆者の住む台南では、このイカを使った名物「小巻米粉(イカのビーフンスープ)」が人気です。
薬膳の世界では、イカは気と血を補ってくれる食材です。肝と腎のはたらきを高めてくれるので疲労回復やアンチエイジングといった効果が期待できるほか、婦人科系のトラブル予防にもよいといわれています。

今月のおつまみ「イカとエリンギの三杯ソース炒め」
今月は夏にぴったりの台湾料理、「イカとエリンギの三杯ソース炒め」のレシピをご紹介します。
台湾のレストランや屋台でよく見かける「三杯〇〇」というメニュー。代表的なものには「三杯鶏(鳥)」「三杯中巻(イカ)」「三杯杏鮑菇(エリンギ)」などがあり、調理する際に醤油、お酒、ごま油を1杯ずつ加えることからこの名前がついたのだそう。
新鮮なイカとエリンギをさっと炒めて三杯ソースを加え、唐辛子やバジルをトッピングしたら完成! 好きなお酒を用意しておいて、アツアツのうちにいただきましょう。
材料とつくり方
【材料(つくりやすい分量)】
イカ 1杯(180g)
エリンギ 100g
しょうが ひとかけ
にんにく 2かけ
青ねぎ 2本
米油 適量
きび砂糖 小さじ2
紹興酒 大さじ1
醤油 大さじ1と1/2
ごま油 大さじ1/2
唐辛子 2本
台湾バジル(なければタイバジル) 15g

【つくり方】
- イカは内臓と骨をとりのぞき、皮をむいて食べやすく切る。エリンギは乱切りにする。しょうがは薄くスライス、にんにくは皮をむいて包丁で軽くつぶし、青ねぎは適当な長さに切る。唐辛子はななめ薄切りにする。
- 鍋に米油を熱し、しょうが、にんにく、青ねぎを強めの中火で炒めて香りを出す。最初にイカ、つづいてエリンギを加えてさっと炒める。
- きび砂糖と紹興酒を加えて炒めてから、醤油、唐辛子を加えてさらに炒める。仕上げにごま油をまわしかけて、台湾バジルを加えて軽く混ぜたらできあがり。

おつまみに合うお酒&ひとことメモ
香ばしい醤油だれの炒めものには、ビールやハイボールが間違いない組み合わせ。そのほか、スペインの酒精強化ワイン、シェリーとの相性も抜群! 軽快でドライなフィノ、少し塩気のあるマンサニージャ、どちらもおすすめです。
醤油、お酒、ごま油を同じ量にするのが一般的な配分ですが、今回のレシピでは飽きずに食べられるようごま油を少なめにしています。手に入るなら、台湾の醤油膏(とろみ醤油)またはオイスターソースを少し加えてもOKです。
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