注目ポイント
AMDが開発したAIチップ「MI300X」は、最も期待されている製品の1つであり、NVIDIAに追いつくための素晴らしいツールと見られている。同製品は、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)に加え、汎用の中央演算処理装置(CPU)も備わり、ビッグデータをより効率的に処理する方法を見つけるため、さまざまな技術の組み合わせを試すAMDの試みを明確に示している。
GPUメーカーの大手であるNVIDIAの中国進出は、米国政府によって阻止されているが、NVIDIAは生成AIのリーダーとしての地位を確保するため、クラウド企業のSnowflakeとの提携を拡大した。一方、AMDは最近、さまざまな組み合わせの低価格AIチップを発売し、より効率的な演算能力でNVIDIAを追い上げようと挑んでいる。
AIチップ市場で足元を固めることを目指すNVIDIA
ChatGPTの生成AIがブームとなった恩恵を受け、様々なAIアプリケーションが次々と登場している。ある研究機関の報告によると、今年(2023年)第2四半期からAI需要が爆発的に増加しており、生成AIに使用されるGPU「A100」と「H100」がNVIDIAの業績を押し上げ、鴻海、ウィストロン、クアンタといった台湾メーカーの勢いにもつながっている。
NVIDIAは世界のAIリーダーとしての地位の確保に積極的に取り組んでおり、6月26日付でクラウドデータ企業Snowflakeとの提携を発表、あらゆる規模の企業が Snowflake社のデータクラウドに格納された専有データを使用してカスタマイズされた生成 AI を安全に作成できるようにすることを目指すと述べた。
NVIDIAは、今後、Snowflakeは顧客企業がチャットボットなどの高度な生成AIサービスのために同社のアカウントにあるデータを利用できるようにすると述べた。同社のジェンスン・フアンCEOは「データは生成AIの最も重要な部分の1つ。将来、NVIDIAはSnowflakeと協力してAIファクトリーを作り、企業がデータをクラウド上で直接、新しいアプリケーションに変えられるようにする」と語った。
その一方、NVIDIAはホワイトハウスに対して積極的にチップの輸出規制やその他関連制裁措置は、NVIDIAが中国市場を拡大する機会を逃すことになると伝えており、また、同社の総収入の20%が中国市場からのものであることを引き続き強調している。
実のところ、NVIDIAは米中間の対立による中国市場の影響を懸念するだけでなく、ライバルのAMDがより強く成長し、自社の事業領域を危険にさらすことを常に警戒している。 AMDのリサ・スーCEO は、6月13日にサンフランシスコで行った記者会見において、192GBのメモリを搭載した同社の最新AIチップ「MI300X」が今年第4四半期に量産を開始する予定であることを発表した。