2023-07-25 ライフ

なに、これ、うまい―台湾風日式料理、独自の進化―

注目ポイント

世界中に外国料理を出すレストランはたくさんありますが、本国の人が食べるとたいてい味が違うと言われます。日本の中華料理「中華丼」も台湾料理の「担担麺」も中国人や台湾人はこんなの自分の国で見たことないと言います。ここ台湾では最近10数年来、日本資本の大手レストランの台湾進出が増えてきましたが、台湾人経営の伝統的日本食レストランでは味や具材が独自の進化を遂げた料理もいまだ健在で、しかもその味はちっとも悪くないのです。今回は台湾化した日本料理をいくつか紹介しましょう。

台湾の日本料理

㈠日本大手日本食レストランチェーン店

36年前に戒厳令が解除され、台湾の民主化が本格的に始まりました。そのころから徐々に日本の料理チェーン店の台湾進出が見られるようになりました。そのさきがけはとんかつの「知多家」です。以来続々と、吉野家、くら寿司、スシロー、一蘭、一風堂、やまみ、丸亀製麺、やよい軒などなど、日本の大手チェーン店が台湾全国に店舗を展開し始めました。

これら日本食レストランでは長年の企業努力で培ってきた腕前で、日本と同様の調理過程や味・風味をほとんど変えることなく台湾でも提供しています。

 

㈡個人経営の日本食レストラン

日本人、台湾人にかかわらず、また、どこでどれくらい修行してきたにかかわらず、個人で日本食レストランを出す人もいます。林森北路や市民大道下の居酒屋は大体このタイプです。どの店も料理人の努力と才能でとってもおいしい料理を出すのですが、中には他店との差別化を図るために、創作料理やナンチャッテ日本料理を出す店もあります。新北市三重区の「麺匡匡ラーメン食堂」ではトムヤンクンラーメンや牛乳ラーメンを出しています。花博公園の近くにある「富山天満」ではラーメンに乗せる具にフォアグラや牛タンを使ったり、ドラゴンフルーツをスープに混ぜたりしています。また内湖の「阿婆寿司」には台湾ソーセージを乗せた握りずしがあるそうです。みんな頑張って様々な創意工夫をしています。ただしこれらは個人店でしか見られず、台湾全土に普及しているわけではありませんので、「台湾化された日本料理」とは言えません。

 

㈢台湾人シェフの日本食レストラン

日本統治の始まった1895年のわずか2年後には、台湾における日式餐庁(日本食レストラン)第一号となる「紀州庵」が台北に開業しました。以来、台湾人、及び台湾移住の日本人の口を満足させるため日本料理屋が普及していきます。戦後もそのまま台湾人による和食レストランが残り今に至っていますが、マジョリティを占める台湾人の好みに合わせる工夫を凝らしている店が多く、日本のものとは一味も二味も違っています。そしてそれはすでに台湾に定着し、これがほんとの日本料理だと思っている台湾人も非常にたくさんいます。でも、日本人観光客が初めて台湾化した日本料理を食べると、「なんだ、これ」となります。とは言っても決してまずいわけではなく、むしろ慣れると結構イケます。おいしいです。

では、台湾化した日本料理の代表をいくつか紹介しましょう。


一味違う台湾化された日本料理

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