2023-07-25 ライフ

濱口竜介監督が台湾訪問 エドワード・ヤン作品は「人生が変わるような衝撃」

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(台北中央社)台湾の映画監督、エドワード・ヤン(楊徳昌)の回顧展が北部・新北市内で開催されるのに合わせ、ヤン監督を「敬愛する映画作家」の一人に挙げる濱口竜介監督が台湾を訪問し、19日、同市内で中央社のインタビューに応じた。濱口監督は、ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」を見た際の衝撃を「人生が変わるような衝撃だった」と形容し、ヤン監督の作品から受けた影響について語った。

(台北中央社)台湾の映画監督、エドワード・ヤン(楊徳昌)の回顧展が北部・新北市内で開催されるのに合わせ、ヤン監督を「敬愛する映画作家」の一人に挙げる濱口竜介監督が台湾を訪問し、19日、同市内で中央社のインタビューに応じた。濱口監督は、ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」を見た際の衝撃を「人生が変わるような衝撃だった」と形容し、ヤン監督の作品から受けた影響について語った。

濱口監督がヤン監督の作品と最初に出会ったのは大学生の時。「ヤンヤン 夏の想い出」(一一)を見に行ったが、その時は不覚にも途中で寝てしまったという。「牯嶺街~」は30代前後の頃、大学院の大視聴覚室で仲間と共に鑑賞し、大きな衝撃を受けた。実は20代半ばに一度、VHSで見たことがあったものの、その時は画質も悪く、大スクリーンで見て初めて「一つ一つの画面がこんなにも充実していたのか」と知った。「世界そのものが映画になっているような感覚があって、これは本当に深い衝撃を受けたし、人生で目標にするような映画になった」とその際の衝撃を振り返った。

濱口監督はヤン監督の作品について「一度では単純では分からないような複雑な物語構成を持っている。一回で全てを見切れる人はいないだろうというような作り方」だと分析し、「何度も見ることを前提にしているような映画だと思う」と話した。

濱口監督の訪台は3回目。台湾グルメの「大腸麺線」が好きで、今回も機会があったら食べる予定だという。

台湾で映画を撮影する計画があるか尋ねると「ない」と率直に回答。だがインタビューを実施した新北市について「新北に来ると(台北とは)また違う雰囲気があって、新北というこの場所もすごく面白いのではないかと思ったりもした。もし撮るとしたら、そういう可能性もある」と語った。

記者がおすすめの台湾の観光地として新北市の「野柳地質公園」を挙げ、女王の頭のような形をした岩石「女王頭」(クイーンズヘッド)の写真を見せると、「あ~、すごい」と興味しんしんな表情を浮かべた濱口監督。自然風化の影響で首の部分が細くなり、断裂の危機に面していることからできるだけ早く訪問するよう勧められると、「首が折れる瞬間を映画にしてみても」と冗談を飛ばした。

ヤン監督の回顧展「一一重構」は新北市の国家映画・視聴文化センターで22日から10月22日まで開催。19日から22日までは、濱口監督作品の特別上映も同所で行われる。

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