2023-07-25 政治・国際

欧州の中立国 ロシアのウクライナ侵攻でNATOに接近

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注目ポイント

スイスは北大西洋条約機構(NATO)とより緊密な協力関係を結ぼうとしている。他の中立国も同様だ。旧大陸が安全保障政策を強化しつつある。全容を探った。

スイスはNATOに加盟するのか。それはまだ遠い未来の話に思える。だが、この軍事同盟に近づくことは1年前から広く議論されてきた。ほぼ全ての政党がこの案を支持する。問題は、どこまで近づくかだ。

欧州の中立国でこうした疑問を抱くのはスイスだけではない。ロシアのウクライナ侵攻は、欧州の安全保障構造に恒久的なダメージを与えた。NATOは長年にわたる混乱を経て、結束を固めつつある。欧州に残る中立国やNATO非加盟国は現在、この紛争における自らの立ち位置を模索し、ほとんどの国が何らかの形でNATOに接近している。

スウェーデンとフィンランド:過去との決別

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スイスとスウェーデンはよく間違われる。スウェーデンは2022年、2世紀続いた中立政策を放棄した

最も思い切った一歩を踏み出したのは、北欧のスウェーデンとフィンランドだ。両国はNATO加盟を決めた。

フィンランドは2023年、31番目のNATO加盟国になった。フィンランドは1995年の欧州連合(EU)加盟以来、自らを中立ではなく非同盟と表現してきた。これは倫理的な決定というよりも、むしろ強大な隣国への必要な譲歩と見なされた。

もっと言えば、ソビエト連邦に対して自国の主権を維持するための現実的な政治的措置だった。このいわゆる「フィンランド化」は、冷戦終結後、着実に解体されていった。

スウェーデンも、ウクライナへの大規模な攻撃から2カ月余りでNATO加盟を決めた。2世紀にわたる中立政策の放棄を決めたのだ。だがスムーズには行かなかった。トルコとハンガリーが政治的影響力を手に入れようと、一時は加盟承認に難色を示したからだ。スウェーデンは今後数カ月以内に、32番目の加盟国になる見込みだ。

両国の加盟はNATOにとって象徴的な重要性を持つだけでなく、軍事的にも大きな意味を持つ。フィンランドは高度に装備された軍隊を有し、ロシアとの国境は1340キロメートルに及ぶ。スウェーデンは強力な兵器産業を持つ。

モルドバとセルビア:古い関係は長く続く

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セルビアのコソボ関連デモ。コソボ紛争時のNATO空爆の記憶はまだ新しい

モルドバは1994年、憲法に「永世中立」条項を加えた。これは国内政治上の理由もあった。多民族国家であり、国の一部だったトランスニストリアも分離独立したモルドバは、非同盟を通じて社会的バランスを図り、全国民に受け入れられることを目指したのだ。

世論調査によれば、現在でも国民の過半数がこの中立を支持している。2014年のロシアによるクリミア併合後、それに関して最初の議論が行われた。2022年にロシアがウクライナ全土に侵攻してからというもの、議論は激化している。焦点はEU加盟だが、同国は明確にNATO加盟を望んでいない。

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