2023-07-24 政治・国際

ウクライナ軍、クリミアの露軍弾薬庫など破壊 東部ドンバスでは両軍がクラスター弾の応酬

© Photo Credit: GettyImages 攻撃を受けたクリミア橋

注目ポイント

ウクライナ軍の東部や南部への反転攻勢が活発化している。ロシアが2014年に一方的に併合した南部のクリミア半島では22日、ドローン(無人機)を使った攻撃でロシア軍の弾薬庫や石油施設を破壊した。東部ドンバス地方では、両軍のクラスター弾による攻撃の応酬が続いている。一方、露軍による、ウクライナの穀物輸出拠点である南部オデーサへのミサイル攻撃が続いた。

ウクライナ軍関係者は23日、ロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島にある露軍の弾薬庫や燃料貯蔵施設を22日にドローン(無人機)で攻撃したことを認めた。攻撃により現場では爆発が起き、周辺住民は避難を余儀なくされた。

AFP通信などによると、クリミア併合後にロシアが創設した「クリミア共和国」のアクショーノフ首長は22日、半島の中部にウクライナのドローン攻撃があり、弾薬庫が爆発したと発表。半径5キロ以内の住民を一時退避させると通信アプリに投稿した。被害の全貌は分かっていないものの、死傷者は出ていないという。

激戦が続くウクライナ東部ドンバス地方では、先週からロシア軍とウクライナ軍が互いにクラスター弾で応酬し、従軍記者ら含め、双方に死傷者が出た。大量の子爆弾を広範囲にまき散らし、不発弾を残すクラスター弾は非人道的兵器とされ、110か国以上が参加するオスロ条約で使用が禁止されているが、ロシアとウクライナは加盟していない。

また、ウクライナ軍は17日、南部クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋を攻撃した。ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、米国での安全保障関連の会合でオンライン演説し、クリミア橋について、「(ロシアが)弾薬を運び、半島の軍事化のために利用している。戦争を引き起こすものは無力化しなくてはいけない」と述べ、攻撃対象との見方を示した。

プーチン大統領はクリミア橋が攻撃を受けたことを受け、「当然報復する」と宣言。同橋への攻撃の翌日から19日にかけて、ロシア軍はオデーサなどウクライナ各地をミサイルやドローンで攻撃した。

ロシア軍当局はクリミア橋攻撃にオデーサの港湾設備が関係していたとして、「報復攻撃」だったと発表。軍の声明によると「無人ボートを使ったロシアに対するテロ行為が準備されていた施設に対し、高精度の海上兵器による報復攻撃作戦を夜間に実施した」という。

ロシア軍は23日未明にも、再びオデーサにミサイルを撃ち込み、ウクライナ正教会の大聖堂や集合住宅が被害を受けたほか、2人が死亡、20人以上が負傷した。

そんな中、ロシア紙RBK(電子版)は22日、先月反乱を起こしたロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が所有する企業グループの中核会社コンコルドを、ベラルーシ東部モギリョフ州内で会社登記したと報じた。業務内容は不動産管理と記載されているという。

ベラルーシ国防省は今月14日、ワグネルの戦闘員が同州オシポビチ近郊で同国の領土防衛隊を訓練したと発表していた。

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