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中台間の緊張が高まる中、台湾のハイテク企業は中国市場への投資を減らそうと製造拠点をインドに移すことを検討している。台湾外交部(外務省)は、台湾にはハードウェアの優位性があり、インドには膨大な市場とソフトウェアの人材があると述べた。グローバルサプライチェーンにおける台湾とインドの補完性を考慮すると、ムンバイに台北経済文化弁事処(TECC=Taipei Economic and Cultural Center)を設置することは、台湾企業が将来の工場設立への投資や事業提携を進めるのに有益だと考えられる。
台湾の外交部は5日、台湾とインドが近年、経済貿易、科学技術や重要なサプライチェーン、文化、教育および伝統医薬などの各分野で著しい進展を遂げていることから、インドのニューデリー経済文化代表処(大使館に相当)、チェンナイ台北経済文化弁事処(領事館に相当)に続き、台湾とインドの交流協力を深化させるため、インド最大の都市であるムンバイに「駐ムンバイ台北経済文化弁事処」(以下、駐ムンバイTECC)を開設するとし、現在、様々な準備作業を進めていると発表した。
台湾は、1995年にインドのニューデリーに経済文化代表処を開設し、2012年にはチェンナイにTECCを開設しており、ムンバイのTECCはインドで3番目のオフィスとなる。外交部は「ニューデリーは台印関係にとって政治の中心であり、チェンナイは製造業の中心である。そしてインドの金融及び情報通信業の中心であるムンバイにTECCを設置することで両国の全面的な関係を更に強化することができる」と説明した。
外交部は今後、駐ムンバイTECCは西インド地域で直接各種ビザの発給や書類認証サービスを提供できるようになり、双方のビジネス・民間交流の利便性が大幅に向上すると述べた。

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駐ムンバイTECCは、インドの4つの州(マハラシュトラ州、ゴア州、グジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州)と、ダドラ・ナガル・ハヴェリ州とダマン・ディウ州の連邦直轄領を管轄し、各種ビザの発給や証明書発行、緊急支援などのサービスを提供する。
台湾外交部は、インドのナレンドラ・モディ首相が就任後、「メイク・イン・インディア」、「デジタル・インディア」、「スキル・インディア」を掲げた経済開発戦略の青写真を積極的に推進し、世界中が注目していると指摘。現在、鴻海やペガトロンなどアップルのサプライチェーンにおける重要なOEM企業が次々とインドに生産拠点を設置している。外交部は、台湾政府は引き続きインドとの協力関係を強化し、我々の企業が経済貿易及び投資の多角化を促進することを支援していくと強調した。
プレス・トラスト・オブ・インディア(PTI;インドの全国的通信社)は2日、台湾のシンクタンク中華経済研究院・台湾ASEAN研究センターの徐遵慈主任の話として、インドの経済規模の大きさは台湾企業の対中依存度を引き下げるのに有益であり、台湾企業の間でインド投資がブームとなっており、フォックスコンの工場拡張はその一例であると報じた。