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来月、パラグアイ訪問のため米国の通過を予定している台湾の頼清徳副総統は、このほど米紙に寄稿し、台湾を 「中華民国」と呼び、互恵と尊厳の原則に基づいて北京と対話する意向を表明した。その寄稿は、米政権に歓迎されるだろうと学者は分析する。
来年(2024年)総統選挙を控えている頼清徳副総統は、4日付の米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に寄稿し、総統に選出されれば、中国との平和を維持し、前提条件なしに中国と対話を続ける意向を改めて表明する一方、防衛力を強化するとも約束した。専門家らは、頼氏が寄稿の中で「中華民国」の呼称を使い、中台関係の現状維持を支持したことは、米政府に歓迎されるだろうと見ており、来月の頼氏と米政権との接触に道を開く可能性が出てきた。
頼清徳副総統は「台湾海峡の平和維持に向けた計画」と題して寄稿し、習近平国家主席が香港島で反体制派を取り締まり、新疆ウイグル自治区で再教育キャンプを設置し、南シナ海でゲリラを扇動し、台湾海峡で軍事的威嚇を強めていると言及した。頼氏は、守りは内側から始めなければならないと強調し、かつて医師として患者の治療計画を立てていた経験から、将来、総統に選出されれば目の前の課題に立ち向かい、台湾海峡の安定を確保するため「平和の4本柱」計画を実施すると述べた。
計画の第一の柱は、蔡英文総統の国防改革を土台に、「非対称戦力」への移行を加速させるとし、費用対効果と機動性を重視し、軍事訓練、再編、民間防衛、情報共有において民主的パートナーや同盟国とのより広範な協力を追求すると約束した。
第二の柱として「経済安全保障は国家安全保障」を掲げ、対中貿易への依存が弱点として利用され、台湾を経済的脅威に晒していると指摘、台湾はサプライチェーンの安全を確保しつつ、貿易の多角化を可能にする貿易協定を追求していくとする。
第三の柱として、世界中の民主主義国家とのパートナーシップ構築の重要性を強調し、最近台湾を訪問した国会議員、NGO、シンクタンク、公式代表団の数が過去最多であることを挙げ、中国共産党の脅威が続いているにもかかわらず、台湾は孤独ではないことを証明したと指摘した。
第四の柱は、両岸関係における安定的かつ原則的なリーダーシップである。 軍事的・経済的な課題は増える一方だが、「現実的」で「一貫した」姿勢を貫くことが最優先である。また両岸関係の現状維持を支持するとし、これが中華民国(台湾の正式呼称)と国際社会の双方にとって最善の利益をもたらすと述べた。 また、互恵と尊重の原則に基づき、中国と前提条件なしで対話する可能性を排除しないと約束した。
頼氏は、「台湾の人々は、自由と民主主義が決して当たり前のものではないことを日々思い知らされており、台湾人及び国際社会の平和と安定のために常に努力する」と改めて表明した。