2023-07-21 経済

日本-台湾路線「需要はあるのに機材と人員が追い付かない」と焦る航空業界

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注目ポイント

新型コロナウイルスの感染拡大による規制も緩和され、日常生活に「旅行」が戻ってきた。旅行社が集計した今年夏休みの海外・国内旅行の「人気旅行先ランキング」によると、海外では台湾が堂々の1位に輝いている。逆も同じで台湾観光協会の調べでは、今年1月と2月で台湾から出境した人は約150万人。このうち50万人が日本を訪れたという。台湾の旅行代理店では「一気に日本と台湾の往来が戻ってきた。航空需要は非常に高い」と期待をふくらませるものの、「肝心の機材や人員がそれに追いつかない」と浮かない顔だ。

一気に戻ってきた日台間往来

新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きをみせ、感染後の症状も軽症化するなか、日本、台湾をそれぞれ訪問する観光客が大幅に増えている。台湾観光協会の調べでは、今年1月と2月で台湾から出国した人は150万人、うち日本に訪れた人が50万人という。

ちなみに新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の日台間の往来は過去最多の700万人を突破しており、このうち台湾から日本を訪れた人は約500万人、日本から台湾を訪れた人は約200万人で、人口約2350万人の台湾からの旅行者が日台往来の柱であることを際立たせた。

往来の規制が緩和された今年は、阪急交通社(本社・大阪市)が2023年夏休みの海外・国内旅行の予約人数を集計した「人気旅行先ランキング」によると、海外では台湾が堂々の1位に輝き、2位以下の欧州、韓国、シンガポール、タイを突き放し、日本でも台湾旅行人気が爆発している。

「いよいよコロナによる規制も緩和され、一気に日本と台湾の往来が戻ってきた。航空需要は非常に高いことは喜ばしいのだが、肝心の機材や人員がそれに追いついていない」と、台湾の旅行代理店の担当者の表情はあまり明るくないのが実情だ。

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台北市に位置する円山大飯店(グランドホテル台北)

 

満席続出、LCCでも往復5~6万円

例として関西国際空港では2019年国際定期旅客便の夏ダイヤを見ると、台湾便は1週間に中華航空、エバー航空、タイガーエア台湾やその他LCC(格安航空会社)を含め135便。しかし、2021年の冬ダイヤでは台湾3社合計で週10便にまで落ち込んだ。

だが今年3月に発表された夏ダイヤでは、台湾3社とその他LCCに加え、新規参入したスターラックス航空(星宇航空)をあわせて週98便までに回復した。コロナ前と比較すると、70%以上の回復率だ。

ただし、今年7月から8月にかけてのエバー航空と中華航空の予約サイトをチェックしてみると、満席の日も少なくなく、大阪と台北のエコノミークラス往復で8万円から9万円。LCCで人気の高いピーチ航空でも往復5万円から6万円と航空券も高止まり傾向にある。

エバー航空関係者によれば「コロナ前は、東京、大阪という主要空港以外にも札幌や仙台、松山などに就航していた。コロナが収束傾向となり需要が増大したのは嬉しいが、今度は機材や人出が足りなくなって主要都市の定期便を元に戻すので精一杯」という。

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エバー航空(前)と中華航空(後)

 

新規航空会社参入で人員、機材争奪が熾烈に

世界中の国際間往来が鳴りを潜めたコロナ禍の3年間、航空会社によっては、社員を減らしたり一時帰休させたり、機材も売却に追い込まれたというところも少なくない。

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