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南アフリカが8月に主催する新興5か国(BRICS)首脳会議に、ロシアのプーチン大統領が出席の意向を表明。ところが、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているプーチン氏が入国した場合、ICC加盟国の南アは逮捕・拘束義務があることで同国のラマポーザ大統領が板挟みになっていた問題は19日、プーチン氏がオンライン参加することで解決した。
南アはこれまで、ロシアのウクライナ侵攻に対する同国の立場をめぐり、西側諸国との間で外交的緊張を引き起こしている。南アは国連でのロシア非難決議を一貫して棄権し、代わりに戦争を終わらせるための対話を求めてきた。
その一環としてラマポーザ氏は6月、「和平プロセスを主導するため」アフリカ7か国首脳でつくる代表団を率いてモスクワとウクライナのキーウを訪問し、それぞれプーチン大統領とゼレンスキー大統領と個別に会談した。
プーチン氏にとってのジレンマとは、BRICS首脳会議に招待されながら欠席を決めた場合、国内では「逮捕を恐れて出席できなかった」などと〝臆病者〟扱いされかねないことだと関係者は指摘する。そのため、オンライン参加はぎりぎりの選択となったようだ。
ICCによる逮捕状の容疑は、ウクライナの子供たちをロシアに強制移住させたことに関与したというもの。ロシア政府は、「両親を失った子供らを人道的理由で自国に連れ帰った」と主張し、犯罪は成立しないと反発。だが、ウクライナとICCは侵攻後、約1万6000人の子供が違法に拉致されたと訴えている。
これまでICCが現職の国家元首に対して逮捕状を発行したのは、スーダンのバシル元大統領とリビアの独裁者カダフィ大佐だけで、今回が3回目。南アは2015年、ICCが逮捕状を出した当時のバシル大統領が入国した際、拘束せずに国際的な批判を浴びた。もしプーチン氏を入国時に拘束しなければ、経済的つながりの深い欧米との関係の悪化は必至で、南アは厳しい立場に立たされていた。
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