2023-07-20 政治・国際

BRICS首脳会議を8月開催する南アフリカ 国際手配プーチン氏出席なら逮捕の義務を回避

© Photo Credit: GettyImages プーチン大統領と握手をする南アフリカのラマポーザ大統領=2019年10月23日

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南アフリカが8月に主催する新興5か国(BRICS)首脳会議に、ロシアのプーチン大統領が出席の意向を表明。ところが、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているプーチン氏が入国した場合、ICC加盟国の南アは逮捕・拘束義務があることで同国のラマポーザ大統領が板挟みになっていた問題は19日、プーチン氏がオンライン参加することで解決した。

8月に南アフリカで開催される新興5か国(BRICS)首脳会議に、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領が出席の意向を表明。ICC加盟国で国際逮捕に関する条約の署名国である南アには、もしプーチン氏が入国した場合、逮捕義務が生じた。

ロイター通信は18日、南アのラマポーザ大統領は、ロシア側が「もし現職大統領が逮捕されれば、(逮捕した国による)宣戦布告とみなすと明言している」と伝え、同国がロシアとICCの板挟みになっている状況が浮き彫りになっていた。

そんな中、ロシアのペスコフ大統領報道官は19日、プーチン氏はBRICS首脳会議にオンラインで参加することを決め、ラブロフ外相が対面で出席することを発表した。タス通信が伝えた。ロシア・南ア両国間で妥協が図られたとみられる。同会議ではBRICS5か国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)の首脳が一堂に会する。

プーチン氏は、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪に関与した容疑でICCから逮捕状が出ており、南アは「ローマ規程」と呼ばれる国際手配などに関するICC条約に署名していることから、プーチン氏が同国に入国した場合には逮捕する義務を負う。そのため、南ア関係者はプーチン氏に対し、逮捕状をめぐる法的・外交的な影響を避けるため、出席を見合わせるよう説得を試みていたという。

ラマポーザ氏はまた、苦肉の策としてICCに南アの逮捕義務の免除を要請していたことが18日、同国の高裁が開示した宣誓供述書で明らかになった。これは南アの最大野党・民主同盟がラマポーザ政権に対し、プーチン氏が同国へ入国した場合、逮捕することの確約を求めて提訴したもの。

開示された宣誓供述書でラマポーザ氏は、プーチン氏を逮捕することは、ウクライナ戦争を終わらせるためのあらゆる努力を困難にし、新たに複雑な事態を引き起こす可能性があると主張。

さらにラマポーザ氏は、「南アフリカがプーチン大統領の逮捕・引き渡しを実行した場合、明らかな問題があることを強調しなければならない」と前置きし、「ロシアは、現職大統領を逮捕することは宣戦布告とみなすと明言している」とし、「ロシアと戦争をする危険を冒すのは憲法に違反する」と主張していた。

ラマポーザ氏は15日にプーチン氏と電話会談し、直接出席を回避する方向で説得を続けているとみられていた。電話会談後、出席の可否について詳細には明らかにせず、ロイター通信は、「ロシア、南アともに外交的ジレンマを抱えている」と伝えた。

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