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エヌビディアは29日、今回の中国向けAIチップ輸出規制の報道について、もしこれが実施されれば、米国の半導体産業は長期的に多大なコスト負担増となり、米中関係を再び悪化させることになるとの声明を出した。
エヌビディア「半導体輸出規制が拡大すれば中国市場は永久に失われる」と警告
エヌビディアは29日、ようやく声明を発表し、AIチップの対中輸出禁止の噂が本当に政策となった場合、米国のチップ産業に長期的に莫大なコストをもたらし、米中関係をさらに後退させるだろうと述べた。
エヌビディアのコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、その結果は深刻なものになりかねないと率直に語る。
クレスCFOは「長期的に見れば、当社のAIチップの中国への販売を禁止することは、米国のチップ産業が世界最大の市場で競争し、リードする機会を永久に奪うことになる。我が社への財務的影響も非常に大きい。例えば、エヌビディアのチップデータ部門の収益の約20%から25%が中国で生み出されている」と述べた。
チップ業界に詳しい業界関係者によると、米国と中国は互いに攻防を繰り広げている。ホワイトハウスは、まずファーウェイやZTEなどの5G通信機器に対する禁止措置を開始し、さらにエヌビディアのAIチップなどの部品にまで拡大した。 中国政府も米国のメモリーチップメーカーであるマイクロンをブラックリストに載せている。規制は厳しさを増し、封鎖合戦に発展する可能性がある。グローバル・サプライチェーンの再編が進んでいるとはいえ、世界的な分業体制であることに変わりはなく、すぐにつながりを断つことはほぼ不可能だろう。米中の攻防が続けば、サプライチェーンに再びダメージを与えかねない。業界関係者は、こうした分野で禁止措置が拡大されれば、エヌビディアやTSMCなどを含む大企業が今後より一層大きなリスクに直面することになると分析している。