2023-07-13 観光

「ゴジラ」がラーメンの具材に⁈どうなってるの台湾人の味覚と発想【検証!台湾グルメ世界最強説】①

© これがウワサの「ゴジララーメン」だ!(女巫貓葵・斗六店提供)

注目ポイント

台湾で特製ラーメン旋風が巻き起こっている。海外でも話題となる衝撃的なビジュアルのラーメンも続出だが、その1、2を争うのが台湾中部の雲林にある「女巫貓葵」(斗六店)のワニの前脚を使った「ゴジララーメン」だ。同店の本店は台湾南部の嘉義市にあるが、ゴジララーメンは雲林の斗六店(王銘賢支店長)が今年6月に発表したオリジナルメニュー。どのような発想でこの特製ラーメンを世に出したのか? 同店の腕利き店員がTNL JPのインタビューに答えた。

ラーメンに「ワニの脚」なにゆえ?

いったい誰がこんなモノをどうやって考え出したのか?

「実はワタシのアイデアなのです」と明かしたのが女巫貓葵・斗六店の男性店員、簡さんだ。人当たりの良い柔和な表情をうかべつつも、胸の内に職人らしい情熱を秘めた感じ漂うナイスミドル。フルネームは「内緒…」だとはにかみつつ答える。

「単純な発想ですが、ワニの前脚ってゴジラのそれにそっくりでしょ。でもこのラーメンの本当の主役はスープなんです。ワニの前脚を具材としてこのラーメンに乗せようと思いついたのは、名物のスープが青い色と赤い色の2種類だから。まるでゴジラが吐く放射熱線のようだと思い、味の面でも強烈な個性を持つスープに負けないような具材を、とイメージを広げ、このアイデアにたどりついたのです」

確かにゴジラが口から吐く放射熱線は作品によって赤い色だったり、青い色だったりする。熱心なゴジラファンの簡さんはそれを連想し、ワニの前脚をゴジラの前脚に見立てた「ゴジララーメン」(酷斯拉鱷魚拉麵)が誕生したのだ。

青色スープバージョンの「ゴジララーメン」(女巫貓葵・斗六店提供)

 

原点「魔女のスープ」はタイ伝来

ところでゴジララーメン発想の原点となったスープはその名も「魔女のスープ」という。簡さんのかつてのタイ旅行の経験から生まれたものだ。

旅行では簡さんのタイの友人が、ある店の「魔女が作った湯麵」なるものを紹介してくれた。タイでは多くの人が「恋の魔法料理」と呼んで親しんでいる味で、試食した簡さんは、その南国らしい独特のエスニック風味に魅了され、同じ南国の台湾でも「ウケる」と直感。「魔女」の異名を持つ、その店の女性シェフに弟子入りし、レシピを台湾に持ち帰ったというのだ。

このスープには40種類以上のスパイスが必要で、簡さんは「中には台湾では入手困難なスパイスもあり、定期的にタイから輸入しなければならない」という。

 

使用されているのは食用養殖ワニ

日本でワニ料理といえば、「大好物」と語っていた米フロリダ出身の本塁打王ラリー・パリッシュ氏を思い出す人も少なくないだろう。メジャーリーグからヤクルト、阪神でも活躍した往年の名選手だ。

ワニ肉は脂肪分が少なく、最近では日本でもワニ肉を提供するレストランや居酒屋があちこちにある。台湾でも事情は同じで、名物の夜市でも味わえるほどに、いまやポピュラーな食材となっている。

ワニは種類によって絶滅が危惧されるケースもあり、食材として使われることに違和感を持つ人もいるかもしれないが、安心してほしい。斗六店で使用されている種は「カイマンワニ」(Caiman crocodilus)で、「食肉用として養殖されたものです」と簡さん。

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