注目ポイント
機密情報を盗み出し身代金を要求するサイバー犯罪が横行している。スイスでは最近、約40万件の在外スイス人情報が盗み出され、ダークウェブ(闇サイト)に公開された。なぜこのような事態が起こったのか?
ランサムウェア攻撃もDDos攻撃もネット投票技術とは直接関係はないが、このような攻撃が頻繁に発生すれば、やはり何らかの影響が出る。IT企業を経営するフランツ・グリュター下院議員(国民党)は「この事件は直接ネット投票システムと関係がないにしても、今後サイバー事件が発生するたびに国のITシステムの安全性への信頼が低下する」と警告する。
危ぶまれる安全思想
グリュター氏は一連の事件により「政府の安全思想に疑問が湧く」と言う。ネット投票に懐疑的な同氏は、「一般市民にとっては盗難の詳細などどうでもよい。ただ国に管理されている自分の情報は安全だと確信できなければならない」と強調する。
一方、IT専門ジャーナリストのフォクト氏は、スイス・レビューのデータ盗難がスイスのネット投票をめぐる議論にマイナスに影響することはないという考えだ。「両方とも在外スイス人が対象だが、共通点はそれだけだ」
それでも心理的な側面は過小評価できない。在外スイス人はネット投票や電子政府(e-Gov)を後押しする最大かつ最も熱心なロビー集団だ。その大半が被害者となった今、少なくともこの情熱がそがれることもありうるだろう。
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