注目ポイント
台湾半導体ファウンドリ(半導体デバイスの製造を専門に行う企業)ランキング2位のUMC(台湾聯華電子、United Microelectronics Corporation以下UMC)は、ファウンドリの巨頭であるTSMC(台湾積体電路製造股份有限公司:世界最大のファウンドリ)に対抗し、先進封止、特殊プロセスプラットフォーム、車載半導体市場への参入に取り組んできた。電子設計自動化ツール(EDA)製造大手のシーメンス、自動車部品大手のデンソーとの協力を相次いで発表し、車載半導体市場への参入を加速する。
UMCがデンソーと提携
UMCの日本拠点であるユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社 (United Semiconductor Japan、以下USJC)は、日本の最大手自動車部品メーカーである株式会社デンソーと協業で300mmウェーハでの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor以下、IGBT)の生産を開始し、USJCの工場ですでに量産に入った。両社の間では、昨年電気自動車用の車載パワー半導体に関するパートナーシップが発表されている。
UMCは、電気自動車の急速な普及に伴い、自動車メーカーはパワートレインシステムの向上を図ると同時に、電気自動車のコストパフオーマンスを上げていく必要があると強調する。デンソーとUSJCが共同で新設した生産ラインで生産する新世代IGBTは、従来のIGBTと比べ、エネルギー[SM1] 損失を20%削減することが可能で、2025 年までに月産10000枚を目指すという。
デンソーの有馬浩二代表取締役社長は5月10日に行われたIGBT出荷式典に出席し、「本日、デンソー、UMC、USJCの3社のパー[SM2] トナーシップを象徴する記念すべき出荷式を迎えることができ、大変うれしく思います。半導体業界と自動車業界という異なるカルチャーを持った者同士が、お互いに尊重し合いながら地道に取り組んできたことは競争力の源泉となっています。(中略)競争力ある半導体の生産を通じて電動化をさらに加速させ、地球環境の保全と笑顔あふれる社会の実現に挑戦していきます」と挨拶した。
UMCの王石・共同総経理(社長)も挨拶を行い、「車載ソリューシ[SM3] ョンをグローバルに提供する、デンソーの戦略的パートナーになれたことを誇りに思います。今回の協業でUMCの製造能力を発揮し、お客様を成功に導くモデルを実現しました。自動車の電動化・自動化の趨勢は特に28nm以上のプロセスノードにおいて、スペシャルティ・ファウンドリのプロセスで製造される半導体の車載搭載量を増加させていくでしょう」と述べ「UMCは、スペシャルティ・テクノロジーのリーダーとして、自動車のバリューチェーンにおいてより大きな役割を果たす立場にあり、急速に進化する産業において我々のパートナーが市場シェアを獲得できることを目指します」とパートナーシップを強調した。