注目ポイント
台湾半導体ファウンドリ(半導体デバイスの製造を専門に行う企業)ランキング2位のUMC(台湾聯華電子、United Microelectronics Corporation以下UMC)は、ファウンドリの巨頭であるTSMC(台湾積体電路製造股份有限公司:世界最大のファウンドリ)に対抗し、先進封止、特殊プロセスプラットフォーム、車載半導体市場への参入に取り組んできた。電子設計自動化ツール(EDA)製造大手のシーメンス、自動車部品大手のデンソーとの協力を相次いで発表し、車載半導体市場への参入を加速する。
UMCは6月26日、先進封止分野の強化のためシーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア社(Siemens Digital Industries 、以下シーメンス)の傘下にあるシーメンス EDA(旧メンター・グラフィックス、以下シーメンスEDA)から電子設計自動化ツール(EDA)の研究開発および生産ソフトウェアの特定技術を3億8500万台湾ドル(約17億7870万円)で取得したことを発表した。また日本の自動車部品メーカー株式会社デンソー(英語:DENSO以下、デンソー)と共同で車載パワー半導体の生産を開始、5月に初出荷を行い、先進封止及び車載半導体分野を強化する戦略を明確にした。
UMC がシーメンスから EDAツール買収、先進封止強化
台湾の市場調査会社トレンドフォース(集邦科技股份有限公司)によると、2023年は端末需要の減少で、オフシーズンの業績低迷が続き、世界のファウンドリ上位10社の第1四半期の収益は約273億ドル、前期比-18.6%と大幅な減少に転じている。第1四半期にランキングも大きく変化した。グローバルファウンドリーズ(Global Foundries GlobalFoundries)がUMCを抜き3位に、Tower(Tower Semiconductor)がPSMC(力晶積成電子製造)とVIS (Vanguard International Semiconductor Corporation)を抜き7位となった。
UMCがシーメンスから取得したEDAツールは、半導体チップの集積回路や電子機器の機能、検証、物理設計などのプロセス自動化を支援するソフトウェア。 EDA ツールは世界のベンダー3社が寡占しており、UMCはいずれのEDAも使用している。昨年、UMCからベンダーへの累計支出はシノプシスへ8 億5000 万台湾ドル(約39億3550万円)、シーメンスへ5億2000万台湾ドル(約24億760万円)だった。また2020年にはシーメンス傘下のEDAベンダー、シーメンス EDAから物理検証ツールCalibre Eco Fillを導入し、14nm Fin FETプロセス認証を完了している。
Calibre Eco Fillは、UMC の 14nm Fin FETを使用している。Fin FET とは、半導体集積回路(IC)の基本トランジスタであるMOSFETの一種だが、従来品よりコンパクトな14nm Fin FET は暗号通貨、通信(3G/4G/5G)、CPU/GPU等、高度な先進封止を開発或いは利用するユーザーに適している。