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台湾の総統府は、米国が台湾に対して生物兵器の開発を求める圧力をかけたと報じられたことについて、否定声明を発表した。国防省は報道を否定し、現在の施設は安全基準を満たしていないため、新しい施設を建設する必要があると説明した。米国在台協会は、生物兵器禁止条約に署名した国の一つであり、生物兵器の開発を禁じていると説明した。

(台北中央社)米国が台湾に対し、生物兵器を開発するよう圧力をかけたとの報道を受け、総統府は11日、台湾と米国の政策は共に明確だとし、「いかなる生物兵器の開発・製造計画もなく、あり得ない」と報道を否定した。
大手紙、聯合報(電子版)は9日付で消息筋の話として、米国が国防部(国防省)予防医学研究所に対し、秘密裏にウイルス開発能力を構築し、生物兵器を開発するため、致死率が高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL)4」の新型施設の建設を求めていると報じた。
予防医学研究所は現在、北部・新北市三峡にBSL4施設を有する。だが、既存の施設は約30年前に建設されたもので、現行の安全基準を満たしていない。そのため同研究所は2021年、新たなBSL4施設を建設する計画を明らかにしていた。
報道に対し、国防部は9日、「報道は事実ではない」と否定。同研究所は感染症の病原体の検知や防護、治療を主な任務とし、同時に生物剤検知キットの開発も行っていると説明。大量破壊兵器に関する国軍の軍備は対処能力の向上を主軸にしているとした。
米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)は10日、中央社の取材に対し、米国は生物兵器禁止条約に最初に署名した国の一つだとし、同条約は生物兵器の開発を禁じ、生物兵器の製造や取得について、いかなる組織に対しても援助や奨励を行ってはならないと規定していると説明した。
総統府の林聿禅(りんいつぜん)報道官は11日、生物兵器の開発は国家のイメージを損なうだけでなく、国際社会からの共同の制裁を受ける可能性もあり、これは基本的な国際常識だと指摘。「聯合報の根拠なき指摘はすでに国民と国家の利益を損ない、さらには地域の安定に対しても悪意ある挑発となっている。非常に無責任だ」と非難した。また、中国の国営メディアがこの報道によって新たに偽情報を拡散しているのを確認したとし、聯合報に対し、報道の訂正を求めた。
(温貴香、游凱翔、黄雅詩/編集:名切千絵)