2023-07-12 経済

労働力不足に悩むスイス 留学生の就労機会を拡大すべき?

© Keystone / Martin Ruetschi

注目ポイント

アジアなど欧州域外からスイスの大学に留学し、学位取得後も現地で働く人はまれだ。だが国内の深刻な労働力不足を受け、連邦議会では留学生の就労機会を拡大する改正法案が審議されている。

スイスは質の高い高等教育、潤沢な研究費、充実したインフラで知られる。連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)は常に世界トップレベルの大学にランクインしている。

高等教育機関の統括組織スイスユニバーシティーズのディミトリ・スーダン国際関係部長は「スイスはフランス、ドイツ、イタリアなどの隣接諸国から多くの学生を受け入れている。他の留学生はスイスの多言語主義と多文化主義に魅力を感じている」と話す。

英語も広く使われている。さらに、スーダン部長は「国際色豊かな教授陣が強みだ。スイス高等教育機関の教授の約半数は外国出身だ」と指摘する。

複雑な手続き

一方、雇用主にとっても留学生の採用プロセスは煩雑だ。ララさんは「面接官に、労働許可証の申請手続きが複雑になるかもしれないと言われた。(企業にとって)負担になる要素なのだと感じた」と振り返る。

実際、外国人・統合法は留学生を国内に留めることを目的とはしていない。一時的な滞在を予定する外国人はスイス入国時に出国を約束しなければならない。

ララさんはこう話す。「スイスで仕事が見つからなければ、ドイツで就職活動をするつもりだ。そうした人を何人か知っている。第三国出身の卒業生の1人は、スイスでは上手くいかなかったが、ドイツで職を見つけた」

この記事は「SWI swissinfo.ch 日本語版」の許可を得て掲載しております。

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