注目ポイント
反社会的組織が葬儀業界を独占していた経緯から、一般的な花屋が葬儀と関わることが稀な台湾。脅しや実力行使で業界への新規参入が阻まれることもあり、老舗花屋は葬儀業界と関わらないのが暗黙の了解だという。

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故人への想いを花に込めてお届けする
街中の花屋は葬儀関係の仕事が全くできないかというと、実際はできることもたくさんある。例えば、スタンド花を数基納品したり、お悔やみの花をお届けすることは全く問題ない。葬儀屋も上記のような悪い業者ばかりではなく、とても明るく良い担当者がいて、快く納品を受け入れてくれることも多い。
また、私の店はスタッフ全員が日本語が話せるため日本人や日本からの注文が多く、日本語対応ができない葬儀屋にとっては、むしろ好都合な存在と思われているようだ。日本人のお客様からも、「中国語ができないから助かった」「突然の注文にも対応してもらえて感謝している」とのお言葉も多数いただいており、スタッフ共々仕事のモチベーションに繋がっている。
そして、私はスタッフにいつも教育していることがある。それは「ただ単に綺麗な花を作るのではなく、お客様の気持ちをお届けするのが花屋の仕事」ということだ。日々、目の前の注文に追われていると、何のために花屋をやっているのか分からなくなる時がある。だが、お客様がなぜ当店を選んでくれて、なぜ花にお金を払ってくれるのか。それを考えることで、一つ一つの花に心から向き合うことができると教育している。花を通して「自分の気持ち」を贈りたいというお客様の想いを受けて、「花に気持ちを込める」ことが花屋の仕事なのだ。葬儀であれば、故人への遺族の想いを花に込めてお届けする。これが本当の意味での花屋の仕事ではないだろうか。
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