2023-07-11 政治・国際

プーチン大統領、プリゴジン氏と長時間会談 6月24日のワグネル反乱からわずか5日後

© Anadolu Agency via Getty Images

注目ポイント

ロシアのプーチン大統領が同国の民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏やその幹部らとモスクワで長時間にわたり会談していたことが10日明らかになった。6月下旬に勃発した〝プリゴジンの乱〟からわずか5日後の出来事だ。また、解任情報が流れた露軍のゲラシモフ参謀総長が9日、軍の会議に出席した動画が公開された。

ロシアのペスコフ大統領報道官は10日、プーチン大統領が露民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏およびその幹部らと、〝プリゴジンの乱〟からわずか5日後、モスクワで長時間にわたり会談したことを明らかにした。20年以上にわたるプーチン政権の中で最も危機的状況となったワグネルの反乱以来、両氏の接触は、知り得る限りでは初めてだったことになる。

ぺスコフ報道官によると、プーチン氏は6月29日、プリゴジン氏やワグネル幹部ら35人を招き、3時間にわたり会談したという。そのわずか5日前、ワグネル戦闘員らはロシア南部の都市とロシア正規軍の司令部を占領し、ロシア国防省指導部の解任を求め、モスクワへの進軍を開始。プーチン氏は「ワグネルの武装反乱は裏切り」と非難していた。

反乱後のプリゴジン氏やワグネル幹部、その戦闘員たちの処遇については明らかにされていない。ただ、ロシアからの報道や、プーチン、プリゴジン両氏の仲裁役を担ったとされるベラルーシのルカシェンコ大統領によると、プリゴジン氏がワグネルの蜂起を中止し、ベラルーシに事実上の亡命をすることに合意したにもかかわらず、ロシアに留まっていたことも明らかになった。

ペスコフ氏は会談の詳細について「不明」としたことで、ワグネルの将来についてはさらに不透明となった。ただ同氏は、前線での戦果と反乱の顛末の両方で、プーチン大統領がワグネルの行動を評価したとし、「大統領は司令官らの意見を聞き、さらなる雇用の選択肢と、戦闘員としての選択肢を提案した」と述べた。

同氏によると、ワグネルの司令官らはプーチン氏に自分たちの考えを伝え、大統領への忠誠を誓ったという。プリゴジン氏は反乱を起こした当時、プーチン氏やその政府に向けたものではなく、軍指導部に対する抵抗だったと主張していた。

ぺスコフ氏は、「彼らは、自分たちが国家元首や最高司令官の忠実な支持者であり、兵士であることを強調し、今後も国のために戦う用意があることを強調した」と説明した。

一方、プリゴジン氏が強硬に批判していたロシア軍のゲラシモフ参謀総長が、ワグネルの反乱以来、初めて公の場に姿を現した。反乱はわずか1日で終わったが、その背景にはゲラシモフ氏の解任と引き換えに、プリゴジン氏がワグネル部隊の首都モスクワへの進軍を中止させたのではないかという憶測が流れていた。

ところがロシア国防省は10日、ゲラシモフ氏が9日に軍の会議に出席した動画を通信アプリで公開。動画にはゲラシモフ氏が最近の出来事について話し合っている様子が含まれており、反乱後に撮影されたものであることは明確で、プーチン氏がショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の両者を留任させたことを示唆している。

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