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2021-12-06 観光

神々の里・島根県について語るならば、それは何だ? 旅のコラム:究極の観光マーケティングとは

© AP/TPG Images

注目ポイント

「スペック」の面から言うと島根県は決して悪くなく、物産の豊かさでも他の県に引けを取りません。しかし、島根県は依然として人口流出がひどい地域の一つで、主要観光地以外の地域は運営に非常に苦労しているのです。もし今、ストーリー立てて島根県をアピールするなら、「美肌県」と「和牛」以外にどのようなコンテンツがあるのでしょう?

この文章はもともと私がLinkedinに載せていたものです。冒頭部分しか書いていなかったのですが、思いがけず知らない日本の方が転載してくれたのです。そこで、時間を割いて観光に対する私の考えをまとめてみました。

 

いつの間にか、観光地でのお金の使い方は次第に似通ったものになってきています。さらに信じられないことに、全く異なる観光スポットで同じ物を買うことができてしまいます。1か所で世界中の物が買えるとさえ言えるでしょう。

 

ある年、旅行で栃木県の日光東照宮へ行き、現地の名産店をぶらつきました。すると陳列棚に様々な日本の観光スポットの名称で、有名なアニメキャラクターのキーホルダーが並んでいたのです。しかも北海道から京都、沖縄まで全て揃っていました。私は友人が集めていたことを思い出し、彼のために1つ購入し、さらにちょっと目新しい(風変わりな)餃子味の歯磨き粉も買いました(隣の宇都宮市は餃子で有名)。

 

後日、友人にキーホルダーを渡すと「日光に行ったんじゃないの?」といぶかしげに聞いてきました。「実はそれほど好きなわけじゃないけど、旅では記念として一つ買っている。後でそれを見ると、その時のことを思い出すからね」と答えました。その後、いろいろな話をしたのですが、結局、友人はキーホルダーにはあまり興味を示さなかったのです。むしろ、餃子味の歯磨き粉をきっかけに、日本の餃子文化について話が盛り上がり、友人は「僕に使わせてくれよ」とさえ言っていました
 

旅先で買ったものは、大脳を刺激して、素晴らしい旅の記憶と結びつける媒体となってくれます。高価である必要はなく、知名度も関係ありません。ところが、その地域が語りかける独特の「ストーリー」は、明らかにそれとは違い、旅の中で体験した数々のカルチャーチョックを頭の中に呼び戻してくれます。

© AP/ TPG Images

 

現在、国内外の観光地はどこも過度に商業化している傾向があります。各地の「ストーリー」に関係なく、今流行しているなら、何でも商品化します。店も、地域の観光推進組織も、体験プランを計画する際には何か決まった枠組みがあるかのように感じられます。台湾で言えば、いたるところにあるナイトマーケットです。

 

今日、非常に大きな文化的違いがある国や地域に行った場合には、ひとまずこのような問題と向き合うことはありませんが、訪問が2回目、3回目となった場合には、これらの課題に直面することになります。

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