2023-07-06 政治・国際

世界の平均気温が3日、観測史上最高を記録 専門家「人類と生態系にとって死刑宣告」

© 〝猛暑日〟が続く中国 Photo Credit: GettyImages

注目ポイント

地球が熱波に見舞われている。世界の平均気温は3日、初めて摂氏17度を超えて観測史上最も暑い日となった。米国立環境予測センター(NCEP)によると、同日の世界の平均気温は摂氏17.01度で、2016年8月に記録した16.92度を更新した。化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素排出量が増加の一途をたどっている脅威が浮き彫りになった。

米国立環境予測センター(NCEP)のデータによると、7月3日の世界の平均気温は摂氏17.01度となり、2016年8月に記録した16.92度を上回り、観測史上最も暑い日となった。

英グランサム気候変動環境研究所の気候学者フリーデリケ・オットー氏は、「これは人類と生態系にとっての死刑宣告だ。心配なのは、3日の記録が程なくして塗り替えられるであろうことだ」と懸念を示した。エルニーニョ現象により今年はさらに最高気温が更新されそうだと予想した。エルニーニョとは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が約1年にわたり続く現象。

実際、先月から熱波が世界各地を襲い、この暑さは世界中の何百万人もの命を危険にさらしている。

中国では4日時点で最高気温が35度以上となる〝猛暑日〟が、この時期としては62年ぶりに過去最多を更新し、北京ではすでに14日を超えた。先月インドを襲った猛暑では、最貧困地域の一部で複数の死者が出た。ベトナムでも今月に入って新たな熱波が到来し、最高気温が37度を超える日が続いている。

先週は北米で50度近い気温が観測され、米テキサス州とメキシコ北部で熱が閉じ込められる危険なヒートドーム現象が発生。メキシコ国境に近いテキサス州ウェブ郡では、猛烈な熱波により6月後半には11人が死亡した。同州ヒューストンなど大都市でも最高気温45度を記録した。

欧州も例外ではない。英国では6月の平均気温が過去最高となるなど、昨年夏に記録した観測史上最高の暑さを更新した。先月発表された世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスが共同でまとめた報告書によると、昨年夏の欧州での超過死亡は1万6000人を超え、英国、スペイン、スイス、イタリアなど数か国で、観測史上最高の暑さを記録した。

専門家は、これらの測定値は19世紀末にさかのぼる観測記録の中で最高で、ここ数週間の熱波はエルニーニョ現象と継続的な二酸化炭素の排出が組み合わさったものだと分析する。

地球の環境問題などを研究する民間シンクタンク「クラブローマ」の気候研究者レオン・サイモンズ氏は英BBCに、「信頼できる記録が残されて以降で初めて地球の平均気温が17度に達したのは、温暖化が進む世界を象徴する出来事」と位置付け、「エルニーニョのより温暖なフェーズに入ったいま、今後1年半の間に、日ごと、月ごと、あるいは年単位で記録が数多く更新されることが予想される」と語った。

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