注目ポイント
フォードだけでなく、GMを含む自動車メーカーが、電気自動車の激しい値下げに立ち向かうため、中国のバッテリーメーカーと協力することを計画しているという噂もある。 米下院の4人の議員は今後、フォードのジム・ファーリーCEOとGMのメアリー・バーラCEOに会い、サプライチェーンにおける中国への依存を減らすよう要求する予定だ。
電気自動車(EV)業界は、熾烈な価格競争にさらされており、現在は米国のEV大手テスラ(Tesla)と中国の比亜迪(BYD)の2強が争う構図となっている。一方、伝統的自動車メーカーであるフォードやゼネラル・モーターズ(GM)は、コスト抑制の観点から中国の電池大手CATL(寧徳時代新能源科技)との提携を模索している。だが、米議員らは中国への過度な依存を防ぐため、米自動車メーカーに圧力をかけるグループを結成するとみられる。
米議員グループ、フォードとGMに中国製電池に依存しないよう圧力をかける
しかし、米国は中国の電池産業からの挑戦に直面している。 フォードは今年2月、中国CATL(寧徳時代新能源科技)から技術のライセンス供与を受け、ミシガン州に35億ドルを投じてリン酸鉄リチウム(LFP)電池工場を建設し、電気自動車(EV)事業の拡大を加速させる計画だが、米インフレ抑制法により多額の補助金を受けることになり、アメリカ社会の反発を招いた。
フォードは、これは単なる技術協力であり、工場は依然としてフォードが100%所有していると述べた。
米ブルームバーグ通信によると、米下院中国特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党)を含む4人の議員は、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)、GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)と個別に会談し、サプライチェーンにおいて、特にEV用バッテリーの対中依存度を減らすよう要請した。実際、中国の自動車用バッテリー産業は急速に拡大している。「日経アジア」の報道によれば、中国の自動車用バッテリーの世界シェアは5割を超えており、自動車大国の日本も中国の自動車用バッテリー産業の拡大をにらみ、経済産業省が車用バッテリーを経済安全保障上の特定重要物資として位置付けている。
日本は2022年、バッテリー産業の供給開発を支援するため3300億円の予算を確保した。設備投資に対し総額の3分の1、技術開発は総額の半額を補助する。今回助成対象となるトヨタの事業総額は3300億円に達する見込みだ。
米自動車メーカーのジレンマ
バージニア州のグレン・ヤンキン知事は、合弁のリチウム電池工場は中国が仕掛けた「トロイの木馬」であり、中国政府は米国の自動車産業振興の努力を弱体化しようとしていると発言し、同州も参加を予定していた工場建設への入札を撤回した。
最近の様々な圧力に直面する中、GMは「米国の競争力を強化し、米国内で電気自動車のサプライチェーンを確立するという下院中国特別委員会の目標を支持する。また委員会に出席して議論に参加する」との声明を出した。フォードは、会社幹部が定期的に当局担当者と会合を持ち、会社の事業や従業員、或いは消費者にとって重要な問題について話し合うとしている。