注目ポイント
バイデン米大統領は6月20日、カリフォルニア州で開かれた募金イベントに出席した際の演説で、今年2月に米国に飛来した中国の偵察用気球と見られるものを米軍が撃墜した際に、習近平中国国家主席は気球がそこにあることを知らなかったので激しく動揺したとの認識を示し「独裁者にとって、何が起きたかわからないというのは非常に大きな恥だろう」と指摘した。
中国外交部北米・大洋州局の楊濤局長は6月19日の記者会見で、米国が「一つの中国政策」の中核部分を歪曲していると非難し「台湾問題は中米関係において常に最も重要な問題だ。米国は、世界に一つの中国しか存在せず、台湾もその一部であり、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法的な政府であるという認識について明確に承諾しているはずだ」、「これらの誓約は『三つの共同コミュニケ』(過去に米国と中国が共同発表した三つの声明)に明確に反映されている」と述べた。
更に楊局長は、米国の「一つの中国政策」について「本来は単純明快で『三つの共同コミュニケ』により定もられたものだが、後から追加された『台湾関係法』や台湾に対する『六つの保証』等は、すべて米国側が一方的にでっち上げたもので、中米間の合意ではない」と不満を露わにした。

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米国は常に「一つの中国政策」を掲げてきたが、これは中国政府の主張する「一つの中国原則」とは異なる。米国は、従来「台湾関係法」、「三つの共同コミュニケ」及び「六つの保証」に基づいて、台湾に関する政策を進めている。
「台湾関係法」は、カーター政権が議会に無断で中国と秘密裏に外交関係樹立の交渉を行ったことへの反発から、上院及び下院での審議を経て、1979年に米国議会で可決された。1979 年 4 月 10 日、当時のカーター大統領自身が同法に署名し、発効日を同年 1 月 1 日まで遡って施行された。この法律は、米国の国内法の基準により米国と外国政府との関係を規制しており、米国の法律と同等の特別法と見なされている。
「六つの保証」とは、1982年に米国政府と中華人民共和国政府の間で合意した第三次中米共同コミュニケを指す。台湾への影響を軽減するために、レーガン大統領(当時)が、米国在台湾協会を通じて蒋経国台湾総統(当時)と同期交渉を行い「六つの保証」が形成された。
この保証は、米国は台湾への武器売却終了日の設定に同意しない、台湾への武器売却について中国と協議することに同意しない、台湾と中華人民共和国政府のいかなる仲介もしない、台湾関係法の改訂に同意しない、台湾の主権に関する立場を変えない、台湾に対し中国との交渉を行うよう圧力をかけないというものである。
習・ブリンケン会談の異なる解釈
米国の「ニューヨーク・タイムズ」は、中国に対してナショナリズムを抱く人々にとって習・ブリンケン会談の解釈は異なると分析した。 中国の国営メディアが発表した会談の概要は中国政府の立場を強調し、ブリンケン国務長官の訪中は中国政府に配慮し、中国の意見に耳を傾けるためのものだったと報道している。

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