2023-07-04 政治・国際

バイデン大統領が習国家主席を「独裁者」と表現 ブリンケン国務長官訪中で埋まらぬ米中間の溝

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注目ポイント

バイデン米大統領は6月20日、カリフォルニア州で開かれた募金イベントに出席した際の演説で、今年2月に米国に飛来した中国の偵察用気球と見られるものを米軍が撃墜した際に、習近平中国国家主席は気球がそこにあることを知らなかったので激しく動揺したとの認識を示し「独裁者にとって、何が起きたかわからないというのは非常に大きな恥だろう」と指摘した。

 バイデン米大統領は6月20日、カリフォルニア州で開かれた募金イベントに出席した際の演説で、今年2月に米国に飛来した中国の偵察用気球と見られるものを米軍が撃墜した際に、習近平中国国家出席は気球がそこにあることを知らなかったので激しく動揺したとの認識を示し「独裁者にとって、何が起きたかわからないというのは非常に大きな恥だろう」と指摘した。また、中国の気球が米国領空に飛来した理由は、予定外にコースを外れたためだと述べた。中国の研究者は、中国が米国との相互信頼を強調する中で、バイデン大統領の発言は破壊的、破壊的だとし「バイデンのビッグマウスは緩んだ大砲だ」と批判している。

 アントニー・ブリンケン米国務長官が6月18日から19日まで訪中し、習国家主席と会談を行ったことで、米中関係の緊張緩和に繋がると見られていたが、バイデン大統領が習国家主席を公の場で「独裁者」と表現したことや、台湾問題に関するブリンケン国務長官の発言によって中国政府は態度を硬化させている。

ブリンケン国務長官は北京を離れる前に「気球事件についてはこれで終わりにするべきだ」と述べたが、バイデン大統の発言は習・ブリンケン会談の直後だっただけに、中国側の感情を逆撫でしたようだ。

中国外交部の毛寧報道官は、6月21日の定例記者会見で「独裁者」発言について問われ「米国の関連発言は極めて不合理で極めて無責任だ。基本的な事実と外交儀礼に反し、中国の政治的尊厳を著しく損ね、公の場での政治的挑発に相当する。中国は強い不満と反対を表明する」と非難した。

上海復旦大学米国研究センターの呉新波所長はロイター通信の取材に対し、中国が米国との相互信頼を重視する中で、バイデン大統領の発言は破壊的、破壊的であり、ブリンケン国務長官訪中の成果を無駄にしかねないと述べ「バイデンのビッグマウスは緩んだ大砲だ」批判した。

 

ブリンケン国務長官の「台湾関係法」関連発言 中国政府は「一つの中国」を歪曲する発言と非難

 ブリンケン国務長官は習国家主席との会談後、メディアに対し、米国は長年に渡る「一つの中国政策」を維持し、台湾の独立は支持しない、台湾海峡の現状を変えることは望んでいないと述べたが、同時に「台湾関係法」(台湾の安全保障のための規定を含む米国の法律)に基づき台湾の自衛能力を確保するための「六つの保証」(米台関係に関する米国の六つの外交政策原則)も維持すると述べ、中国政府関係者らの反発を招いている。

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