注目ポイント
ロシアの独立系メディアは3日、武装反乱を起こし、ベラルーシに〝亡命〟した露民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が約1週間ぶりに音声メッセージを公表したと伝えた。その中でプリゴジン氏は、今後もウクライナ侵攻に関わることを示唆する一方、サンクトペテルブルクのワグネル本部は2日、戦闘員の募集活動を1か月間停止すると発表。ウクライナでの軍事作戦への一時的不参加と、ベラルーシへの移動のためと説明した。
ゼレンスキー大統領は同日、スペインメディアに対し、ワグネルの移動は「情報面の圧力に過ぎない」とし、ウクライナに深刻な打撃を与える能力はないとした上で、〝プリゴジン氏の乱〟がロシアの戦力に大きな影響を及ぼすと分析し、反転攻勢を有利に進める考えを示した。
また、ゼレンスキー氏は米紙ワシントン・ポストが年内にロシアと停戦交渉を開始すると報じたことについて、ウクライナ軍が本来のロシア国境まで達した時に外交交渉の前提が整うと述べた。2014年にロシアが勝手に併合した南部クリミア半島や実効支配下に置いた東部2州のドンバス地域も含め、全土奪還が反転攻勢の目標だと改めて強調した。
ゼレンスキー氏は首都キーウを訪れたスペインのサンチェス首相との共同記者会見で、ロシアが侵攻を始めた昨年2月時点の境界は「国境ではない」と訴えた。
ワシントン・ポスト紙は先月30日、ウクライナ当局者が米国側に対し、主要な領土を今秋までに奪還し、年内にロシアと停戦交渉を開始する戦略を立てたと報道。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が先月ウクライナを極秘訪問した際、ウクライナ側から説明を受けたとした。
同紙はウクライナ関係者などの話として、バーンズ氏はゼレンスキー氏や情報機関首脳と会談し、ウクライナ側は領土奪還について、南部方面ではロシア占領下のクリミア半島との境界まで武器やミサイルシステムを移動させ、東部方面もいっそう攻め込む方針で、これらを実現させて初めてロシアとの停戦交渉に入る考えを伝えた報じた。
おすすめ記事:
・中国、強化した改正「反スパイ法」を施行 外国企業のリスク拡大で「脱中国」加速か
・香港国家安全維持法が施行されて丸3年「中国化」進み、海外移住の流れ止まらず