注目ポイント
台湾の年金制度は大きく3つに分けられる。退職後の理想の生活費は3〜5万ドルだが、実際に手にできるのは1〜2万元程度のため、公的年金だけでは生活費を賄うのが難しい。そのため、40歳になる前から老後の備えを始める台湾人が多く、特に株式投資が積極的に行われている。
こんにちは、台湾在住ライターの津山です! 日本でも台湾でも、今や平均寿命が80歳を超え、退職後の生活のために資金を確保することが不可欠となりました。
日本では老後資金2,000万円問題が一時期話題になりましたが、急速なインフレに給与の上昇が追いついていない台湾でも、退職後の資金形成は重要なテーマとなっています。
しかも台湾人は日本より退職年齢が早く、退職後の再就職も難しいというデータが出ています。では一体台湾人はどうやって老後資金を賄っているのでしょうか。台湾の退職制度や老後の資金形成に関する対応策を、日本との比較を交えつつ、詳しくご紹介します!
台湾人の退職後生活を支える3つの年金制度とは?
まずは、台湾の年金制度について詳しく見ていきましょう。台湾では、現在、大きく分けて以下の3つの年金制度があります。
- 國民年金保險老年年金(略称:老年年金)
- 勞工保險老年給付(略称:勞保老年給付)
- 勞工退休金(略称:勞退)
この3つの制度は、加入条件や退職金の受給方法に違いがあります。各制度の特徴を詳しく説明します。
1.國民年金保險老年年金(略称:老年年金)
老年年金は、労働保険、農業保険、公務員保険、軍人保険に加入していない国民、つまり専業主婦や失業者、学生などが対象の年金制度です。
法律の規定に従って保険料を支払えば、65歳以降は、基本的な経済保障を受けることができます。日本の国民年金と近い制度といえます。
2023年3月時点のルールによると、例えば25歳〜65歳の間、毎月約18,000台湾ドルを40年間納め続けた場合、65歳以降は、毎月約9,500台湾ドルの年金がもらえます。
月額払いで受け取れる費用の計算方法(いずれか高い方):
1. (月投保金額 x 保險年資 x 0.65%) + 新臺幣3,772元
2. 月投保金額 x 保險年資 x 1.3%
2.勞工保險老年給付(略称:勞保老年給付)
勞保老年給付は、台湾で最も早く創設された退職金制度です。15歳以上の労働者は必ず加入する必要があり、毎月規定の保険料を、従業員:会社:政府が2:7:1の割合で納めます。
退職時の年金の受け取り方は、勤続年数が15年以上かどうか、また保険に加入した年が2008年以前かどうかによって異なります。
現在の制度上は、60歳まで勤めた場合、一括払いか月額払いかのどちらかで支給されます。
2023年現在のルールによると、例えば毎月の給与平均が40,000台湾ドル、勤続年数が30年であれば、約18,600台湾ドルを毎月受け取ることができます。
月額払いで受け取れる費用の計算方法(いずれか高い方):
1. 平均月投保薪資 × 年資 × 0.775% + 新臺幣3,000元