2023-07-03 経済

人工知能(AI)の規制 スイスの立ち位置は?

注目ポイント

このシンボル画像は、編集部が画像生成AIのDALL·E 2(ダリツー)を使って作った Created with DALL·E

このシンボル画像は、編集部が画像生成AIのDALL·E 2(ダリツー)を使って作った Created with DALL·E

ソーシャルメディア、医療、チャットボット、半自動運転車など、AIは好むと好まざるとにかかわらず、私たちの日常に根を下ろしている。この業界を代表する人々が最近、公開書簡でAIの危険性を警告した。リスクを減らすことは「世界的な優先事項」だという。

AIの進化を監視する市民団体「AlgorithmWatch CH他のサイトへ」のアンゲラ・ミュラー代表は、「この問題は人権や法の支配、民主主義にもかかわる」と話す。AIがもたらす潜在的な負の結果は、既に顕在化しているという。

同氏が例に挙げたのは、アルゴリズムによって人種差別が生じた、いわゆるオランダ児童手当事件他のサイトへだ。だからこそ、AI利用に関する規制は「比較的急務だ」と指摘する。

連邦環境・運輸・エネルギー・通信省通信局(BAKOM)のトーマス・シュナイダー副局長も同意見だ。「データは新しい燃料、AIシステムは新しいエンジンだ」と言う。「これらが重要なテーマであり、その解決策を見つけなければならないことを人々は認識している」

もっとも、欧州評議会の人工知能委員会(CAI)委員長でもあるシュナイダー氏は、瑕疵(かし)のない解決策か手っ取り早い解決策かのどちらかを選ばざるを得ないだろうと指摘する。そしてスイスはそのために、いくらか様子見していると話す。

今のところ経済協力開発機構(OECD)の加盟国で、AIに特化した規制を導入した国はない。最も先を行くのが欧州連合(EU)他のサイトへだ。欧州議会は6月14日、いわゆるAI法案(AI-Act)の最初の草案を可決した他のサイトへ

この法案は、例えば中国で信用スコアに使われるリアルタイム顔認証や、子供に危険な行動を取らせる恐れのある音声アシスト付き玩具など、リスクの高いAI使用を禁止する。

欧州評議会も「人権の守護者」として人工知能に関する独自の法的手段他のサイトへを作成する権限を持つと自認する。ミュラー氏は、欧州評議会の協定はEUの規制と競合するものではなく、補完するものだと強調する。「なぜなら双方のアプローチが異なるからだ。EUではAIは製品の安全を通じて規制されるだろう」

 

単一の法律では不十分

AIに関する単一の法律は制定されないというのははっきりしているようだ。シュナイダー氏はAIを用途に応じて専用の法律と規制が適用されるエンジンにたとえる。AIもさまざまな用途に使用される。

「音楽ストリーミングサービスにAIシステムを使う場合と、同じアルゴリズムが医師に心臓手術で次の処置を提案する場合とでは、生じる影響が異なる」ため、それぞれに異なった防護策が必要だと同氏は言う。

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