2023-07-06 流台湾

話せなくても働けるけれど……台湾で仕事をする上で求められる中国語力

© Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

台湾に移住したり仕事をする上で、中国語力は必須ではない。TOCFLなどの成績を重視する台湾企業が少なく、日系企業なら日本語だけで十分働ける可能性があるからだ。しかし、キャリアアップや日常生活を充実させるためにも、中国語を学ぶ姿勢が肝要なのは言うまでもない。

驚くことに台湾で起業した日本人経営者の中には、中国語を話せない人がたくさんいる。私自身、花や仕事に関することなら問題なくコミュニケーションをとれるレベルで、日常生活ではまだまだ知らない単語や用法もたくさんある。だが、本当に簡単な挨拶程度しかできない日本人経営者が多いため、そんな私でも“中国語が話せる人”と見なされるのだ。

最近は「台湾で働きたいんですが、中国語が話せません。どうすればいいですか」といった質問をSNSでいただくことが増えた。コロナが落ち着いてきた今、台湾に移住したり台湾で働きたいと思う人が増えているのだろう。そこで、台湾で仕事をする上で中国語力がどれほど必要なのか? 台湾在住の日本人としてお伝えしたい。

 

検定や資格は必要か?

日本で中国語を勉強しようと思えば、多くの人は本屋で中国語のテキストを手に入れたり、中国語教室に通ったりするだろう。だが、日本で教えられている中国語のほとんどは簡体字表記、いわゆる「北京語」である。台湾はご存知のとおり繁体字を用いていて、単語や言い回し、発音も北京語とは異なる。これを誤解している日本人が未だに多く、また公用語は「台湾語」だと思っている人も少なくない。

北京語なら中国語検定やHSKといった検定試験があるが、台湾の中国語に該当する資格は台湾政府が認定している「TOCFL(華語文能力測験)」のみ。専用教材が少なく、独学で過去問を解いたり、現地のテキストで地道に勉強するしかない。

ただ、資格があれば台湾の企業で採用が有利になったり、自身で起業できるのかといえば難しいだろう。というのも、そもそもHSKや中国語検定、TOCFLの存在を知っている企業がほとんどないからだ。資格がないよりは良いかもしれないが、あっても特別なメリットにはなり得ない。それよりも重視されるのは、その企業に合った専門的な知識や関連業界で働いた経験だ。

 

中国語が話せなくても働くことはできるのか?

では、中国語が全く話せない日本人は台湾で働けるのか? 日本と全く関連業務のない台湾企業なら、社内の公用語は中国語か英語の場合が多く、ある程度の語学力がなければ選考のための書類提出すら困難だろう。一方で、日系企業なら働ける可能性は十分ある。上層部のほとんどが日本人だったり、日本語ができる台湾人スタッフもいるためだ。

ただ、中国語が話せた方が良いことは間違いない。仕事において重宝され、給料も高くなる傾向があるし、簡単な中国語で日常生活は送れても、移民局や労働局でのビザに関する手続き、銀行や税務署でのお金に関する手続き、病院や薬局での医療関係の手続きなど、台湾で生活する上で語学力が必要な場面が必ず出てくるからだ。

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