2023-07-01 経済

「AIは現代を象徴するテクノロジー」マイクロソフト・スイスCEO

注目ポイント

マイクロソフト・スイスのカトリン・ヒンケル最高経営責任者(CEO)は、ITとの相互関係において、人工知能(AI)が次の大きなステップになると断言する。しかし、この新技術は「副操縦士」的な役割にとどまり、人間の知能に取って換わるものではないと話す。チューリヒ本社で話を聞いた。

swissinfo.ch:あなたは2021年、マイクロソフトのスイス子会社のCEOに就任するために母国ドイツからチューリヒに移住しました。その際、一番驚いたことは何ですか?

カトリン・ヒンケル:スイス国内の、またマイクロソフトにおいてのイノベーション・創造性のレベルに驚きました。スイス国民はイノベーションの分野に長く貢献しており、マイクロソフト・スイスのチームは、新しくイノベーションに富んだソリューション作りに熱意を持っています。マイクロソフトとスイス国内のパートナーとの連携の強さにも驚かされました。

swissinfo.ch:マイクロソフトはスイスで1千人以上の従業員を雇用しています。子会社の主な役割は何ですか?

ヒンケル:マイクロソフト・スイスのCEOとしては、私は国内のマーケティングと販売を担う600人の「スイスチーム」の責任者です。我々は顧客と密に連携し、彼らのデジタル化の道のりをサポートしています。それに加え、マイクロソフトは「国際チーム」のメンバーとして、スイス国内から400人を雇用しています。

swissinfo.ch:「国際チーム」のスイスでの役割は?

ヒンケル:国際チームのメンバーは、マイクロソフトグループの様々なテクノロジー部門に所属し、国際的規模の新商品開発に携わります。スイスチームとスイスの顧客は、この国際チームの専門知識、特に複合現実、拡張現実の分野における専門技術の利益を享受しています。

swissinfo:マイクロソフトグループは、外部の提携企業を通して製品を市場に売り込むことで知られています。スイスでも同じ手法をとりますか?

ヒンケル:確かに、当社のスイス国内における営業活動は、4600社のパートナー企業と強く結びついています。これらの企業で働く従業員数は約10万人になります。パートナー企業にはアクセンチュアやタタ・コンサルティングサービス、KPMG(いずれもコンサル会社)といったグローバル企業も複数ありますが、大半が中小企業や、非常に小さなローカル企業です。それらの企業が特定の地域や商品の独占権を与えられることはありませんが、私たちは製品を適切に扱うための講義を提供します。

swissinfo.ch:グーグル、アマゾン、ツイッターやマイクロソフトなどの企業が最近、人員削減を行いました。マイクロソフト・スイスはどうですか?

ヒンケル:具体的な数字を出すことはできません。しかし、競争が激しくかつダイナミックなテクノロジー市場で活動する企業として、顧客が必要とするものを満たすために、柔軟に対応していく義務があります。それがこの市場のスタンダードです。このため、我々は開発途上の分野、また将来性の見込める分野で新たな人材を獲得しています。一方、成長の維持が見込めない分野では、企業のアジリティ(敏捷性)を維持するため実情に即した対応をします。

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