2023-06-30 政治・国際

「2023年欧州価値サミット」チェコ共和国大統領が台湾問題で団結を呼びかけ

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注目ポイント

台湾の呉釗燮外交部長(=外務大臣)は6月14日、チェコ共和国のシンクタンク「欧州価値安全保障政策センター(EVC)」がプラハで開催した「2023年欧州価値サミット」に出席し、ペトル・パヴェル大統領に続いて講演を行った。チェコ共和国大統領と台湾外相が初めて共通認識を示したことになり、ロイター通信は「外交的突破口」だと報じている。

 

「欧州価値安全保障センター」は、世界情勢について議論する「欧州価値サミット」を2016年から毎年開催しており、呉外交部長が招待されて講演するのは今年で3回目となる。

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「2023欧州価値サミット」で講演を行うパヴェル大統領、続けて呉外交部長も講演した。


パヴェル大統領「中国は覇権主義を隠そうともしない。各国は台湾問題で団結すべきだ」

かつてNATO軍事委員長を務めたパヴェル大統領は、今年2月のチェコ大統領選で当選、当選直後に台湾の蔡英文総統と電話で会談するなど、台湾に対して友好的な姿勢を示している。

パヴェル大統領は、中国は世界秩序を破り、多くの領土を獲得するという覇権主義的な野心を隠そうともしないと述べ「中国はロシアとはまた異なる形で世界秩序に対してアプローチしている。ロシアのアプローチは主に軍事力に依存したものだが、中国は教育、開発、科学、技術、経済、資金力を使って勢力を拡大しようとしている。中国は戦略的に世界の有名大学に投資を行い、世界中でインフラ設備を買収していることは周知の事実である」、「相互依存という面において、中国は非常に賢明な方策をとっている。中国自らは他国への依存を減らして来た一方で、世界の中国への依存を増加させて来た。これは危険な関係を生み出している」、「欧米の民主国家も中国とビジネスを行うことの利点にだけ目を向けるのではなく、それに伴うリスクに注意しなければならない」などと指摘した。

続けて「中国を孤立させるつもりはないし、中国とのビジネスも続けるが、依存関係を生じさせてはならない」、「中国とのビジネスはあくまで双方の利益となる前提に基づいたものでなければならない」、「中国の考える長期的利益は我々の価値観とは異なるものだ。中国の経済力、科学力、軍事力が世界秩序を変えてしまうことを防ぐには、EU​​やNATOが十分な抑止力を持つ必要があり、世界のすべての民主主義国家は規律を守り、強要ではなく交渉を通じて国際秩序を変えていかなければならない」と論じた。

更にパヴェル大統領は「ウクライナ問題、中国問題、台湾情勢について、各国の団結を強化し、中国が台湾に対し強硬な態度に出ることを許してはならない」、「香港はもともと台湾と同様に民主主義を享受してきたが、香港の民主主義は徐々に崩壊しつつある。だからこそ世界は台湾の民主主義を支援し、維持する必要がある。その唯一の方法は協力と団結であり、そうでなければ将来の情勢をコントロールトロールするのも困難になるだろう」と台湾支援を呼びかけた。

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