2023-06-29 経済

米国、半導体チップの対中輸出規制を再び緩和 台湾・韓国メーカーの適用除外を延長

注目ポイント

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、米商務省の高官がバイデン政権は当面の間、台湾と韓国の半導体メーカーが中国での半導体チップ事業を維持・拡大することを認め、米国は報復措置を取らないと述べたと報じた。


バイデン政権の半導体輸出規制、転換の余地も

今年(2023年)4月、バイデン政権はチップ、人工知能(AI)、量子コンピュータなど経済的に重要な分野における米企業の対中投資規制を拡大するという内容の大統領令を準備していると報じられた。また、台湾積体電路製造(TSMC)を想定し、米国は台湾等の半導体メーカーの中国進出を1年の期限付きで認め、期限を過ぎた後は、中国に半導体装置を輸出することは禁止するとした。

しかし、最近になって、チップの対中輸出規制が緩和されたようだ。 「ウォール・ストリート・ジャーナル」の報道では、米国商務省のアラン・エステベス産業・安全保障担当次官が、バイデン大統領はチップ輸出管理政策の現在の適用除外を延長する意向だと述べた。それは即ち中国への半導体製造装置の輸出規制が緩和されることを意味する。

業界関係者によると、この延長は段階的な縮小ではなく、高度に一体化したグローバル産業において、米政府が中国の技術を切り離すことが予想以上に困難だと認識していることを表すとし、またビジネスに対して米国の干渉が強まっていることに対する外国企業の不満も反映されているという。

実際、2020年以降、米国は中国企業が米国の技術や製造装置、とりわけ最先端の半導体技術を手に入れることを阻止するため、半導体チップの対中輸出規制を徐々に強化してきた。


チップの輸出規制がインフレを促す

米国は、中国を封じ込めるためにさまざまな政策をとっている。 初めはエンティティ・リストによる部品の輸出規制である。一例として、米商務省がある中国企業をリストに掲載すると、当該企業は米国のサプライヤーとの取引が制限される。 エンティティ・リストに掲載された企業は、輸出規制の対象となり、米国の技術や製品にアクセスするためには特別な許可が必要となる。

続いて技術の輸出規制が行われる。米国は中国に対し、とりわけ最先端の半導体製造技術や設計に関して厳格な輸出規制を実施しており、また投資に関する規制も実施している。米国は対中投資への監視を強化しており、特に半導体関連については、外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)に基づき、米政府は米国企業の対中投資を審査し、あるいは阻止することが可能である。

最後に、米国は同盟国に対しても技術者や製造装置、保守部品、オートメーション・ソフトウェアを中国に輸出しないよう求めている。 米国は、中国が進める半導体技術の高度化を国家安全保障上の脅威とみなし、様々な手段を使って中国に対する規制措置を強化してきた。

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