2023-06-29 政治・国際

米英豪の安保同盟AUKUSが拡大へ 先端技術で「新たなパートナー国と連携」

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米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は今週、米国、英国、オーストラリア3か国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」が進める先端技術分野の協力で、「他のパートナー国とも連携する用意がある」と発言。参加に関心を示す国々と協議を始めていることを明らかにした。

米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は26日、ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所」主催の講演で、米英豪3か国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」が進める先端技術分野の協力で、「他のパートナー国と連携する用意がある」とし、参加に関心を示す国々と協議を始めていることを明らかにした。

オーカスの「第1の柱」とされるオーストラリアへの原子力潜水艦数隻の導入計画は、米英豪3か国のみの協力にとどめる。その上で、「第2の柱」と位置付けられる先端技術分野で、同盟・友好国と連携を進めることで、インド太平洋で影響力を拡大する中国をけん制する狙いがある。オーカス拡大を警戒する中露や北朝鮮から反発を招くことは必至だ。

先端技術分野での協力は、極超音速兵器の開発や、防衛技術革新の加速、機密情報の共有拡大などが含まれる。キャンベル氏は、「防衛能力を高める実際的な取り組みを求めている」と述べたが、協議を進めている相手の国名は明らかにしなかった。

米議会調査局が最近発表した報告書によると、議会が国防省と国務省に「第2の柱」を拡大するよう指示することを示唆しており、一部専門家からは日本も含めるべきだとの声も出ているという。また、英語圏5か国による機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」を構成し、オーカスに含まれていないニュージーランドとカナダがすでに関心を示しているとされ、他にも韓国やフランスの名前も挙がっている。

講演に参加した米海軍制服組トップのギルデイ作戦部長も、オーカスの先端技術の協力国拡大について、「特定の分野で大きな潜在力がある」と期待感を示し、新しいパートナー国は重要な提案を持ち込む必要があると付け加えた。

キャンベル氏は、「鍵となるのは…(新たなパートナー国が)何を提案でき、それを実践的かつ実行可能な方法で遂行できるかどうか」と指摘。「ただ受け取るだけではなく、何を提供できるかだ」と付け加えた。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、オーカスは米国の技術と英国の設計を組み込む原子力潜水艦に焦点を当てているが、この野心的な提携は数十年にわたって人員配置、データ、最先端の人工知能(AI)、極超音速、サイバーセキュリティ技術の利用を統合することも目指している。

中国はオーカス3か国が「さらに誤った危険な道を歩む」と非難する中、キャンベル氏は、オーストラリアと英国は「遠い将来に向け」、米国と戦略的に連携するための「根本的な決定」を下したと説明した。

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