注目ポイント
台湾の航空業界は、今年に入ってロックダウンが解除されたこともあり、旅客需要が予想以上に伸びている。航空券の価格は3割上昇したが、原油価格は下落傾向にある。そのためスターラックス航空、中華航空、エバー航空、台湾タイガー航空の大手各社は、今年下半期の業績も好調に推移すると予想される。
注目すべきは、世界で最も優れた航空会社として常に評価されてきたカタール航空が、運航モデルを変え、今後はファーストクラスを設定しないという事実である。米ブルームバーグの報道では、カタール航空はビジネスクラスとファーストクラスの特典がほぼ変わらないことから、ファーストクラスへの実質的なニーズは無くなったと判断したが、ルフトハンザ航空、カンタス航空、エールフランスなどはプレミアムサービスへの投資を拡大させるだろうと指摘する。航空会社がそれぞれ異なる顧客層に合わせてサービスを展開していく流れが明確になってきた。
また、航空業界にもグリーンビジネスの商機が到来していることも注目すべき点である。中華航空とエバー航空は、グリーン金融、グリーン航空券、グリーン投資等の大きなチャンスに果敢に挑んでいる。両社は、今年から持続可能な航空燃料(SAF)の給油もスタートさせた。中華航空やエバー航空がESG(環境・社会・ガバナンス)を推進するにつれ、顧客や資本の獲得と海外からの投資を呼び込むためのESG戦略が本格化に動き始めている。
中華航空は、ESGで世界を大きくリードしており、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにするという目標に向けて積極的に取り組み、世界の航空業でトップを目指すと強調した。同社は2017年、新規に導入したエアバスA350-900にSAFを給油した。さらには2021年に新世代省エネルギー旅客機A321neoを導入後、15機にSAFを給油して飛行している。今年に入り、中華航空は特別に2回にわたってデモンストレーション飛行を実施、台湾で初めて旅客便にSAFを10%使用して運行を行った。これは台湾の航空業界においてエポックメーキングな出来事となった。
現在、持続可能な航空燃料(SAF)の使用は、航空業界において最も重要な炭素削減策の1つであり、ジェット燃料と比べると炭素排出量の約8割を削減できるが、現段階では世界のSAFの生産量は限られており、そのため価格は一般的なジェット燃料の約4倍となっている。中華航空は、デモンストレーション飛行を通じて持続可能なESGを継続的に実践していきたいと強調した。